ダンジョンコアを手に入れたので東京の地下でダンジョン運営してみる。

ガルキング

第一章

第1話 余命宣告

 「悟君の余命は、もって三ヶ月です」


 都内某所の病院の無菌室に、腕や喉や口に色々とクダを付けけられ、ベッドに寝かされてる少年の名前は「高藤 悟(タカトウ サトシ)16才」。幼少の頃より白血病を患い、頻繁に入退院を繰り返していた。


 遊び場は病室のベットの上、妹と二人で本を読んだり、オママゴトをしたり、テレビをみたりしながら幼少期を過ごしてきた。


 そんな悟も、二年前頃からガンが脳に転移しベットから起き上がる事が困難になっていた。


 外科手術での摘出は不可能な位置で、抗がん剤や放射線による治療のかいもなく、遂に家族に余命宣告されていた。


 本人も薬により身体は蝕まれ、朦朧とした意識の中、両親や妹の表情や雰囲気から、自分の人生はそれほど長くは無いのだと理解している。


 逆に辛い治療により、早く楽に成りたいとさえ思っている自分が居る。


 そんな悟は、1日の大半をベットの上で寝て過ごしているわけだが、ある日の夜中、自分の顔に、ヒンヤリ冷たい感触がすることに気付き、ふと意識が戻る。


 そこには暗くて良く見えないが、ソフトボール位の大きさの真ん丸いボンヤリ黒光りした物体があることに気付く。


 管の付いていない右手で持ち上げて見るとヒンヤリしていて、うっすら発光しているように見える。


「何だろこれ?なんかボンヤリ光って見えるんだけど……」 

 じーっと見つめて居ると頭の中に突然機械的な声が響いた。


 『貴方はこのダンジョンコアのマスターとして登録することが出来ます。登録しますか?』 


 「……ん?」

 「なんか聴こえた気が……」 


 聴こえたというより脳に直接来たから、聞き間違いと言うことはまずないと思うが、内容がさっぱり理解出来ず、何がなんだかわからない恐怖から心拍数がガツンと上がってしまい、ナースセンターにアラートが鳴り響いてしまった。


 当然医師とナースが走り込んできて大騒ぎになってしまったが、黒い玉は布団の中に隠し、誰にも見られる事はなかった。


 医師とナースによる問診も悪い夢でも見たと適当にあしらって無事終了し、また一人ベットの上で 黒い真ん丸の物体を眺めながら先程の頭に響いた声をよくよく思い出してみる。


 『ダンジョンコア』『マスター』


 確かに頭の中に届いた声はそう言っていた。

 よく考えてみると、俺はこの単語を知っている。


 ダンジョンとは、web小説などによく出てくる転生物などで主人公達がレベル上げや、金策などで訪れる事になる洞窟型や遺跡型などという特殊エリアであり、モンスターを倒して魔石やら何やらを手に入れたり、各階にエリアボスや、最下層に大ボスがいたりというのが定番?になっていて、最下層のボスを倒す事が出来れば『ダンジョンコア』というダンジョンの元となるアイテムが手に入る事が有ったり無かったり、ダンジョンを破壊出来たり出来なかったり……。


 自分も入院中、読書することが多かったので、たまにそういった類の小説は読んではいた。


 そのマスターになるということは、ダンジョンを自分の好きなように作ることが出来るということで多分合っていると思う。


 ただ余命幾ばくもないだろう自分が、最後までやり遂げれるかわからないが、ワクワクしている事は間違いない。 


 そう思いながらもう一度ダンジョンコアと思われる珠をじっと見つめると、また頭の中にあの声が響く。


『貴方はこのダンジョンコアのマスターとして登録することが出来ます。登録しますか?』


 どうせもうすぐ死ぬんだ……やって見ようじゃないか!


  

 


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