第三章 僕の付き人
第48話
翌日、ベッドで目を覚ますと隣で寝ていたはずの隆二がいない。
隆二がゴミ箱から出してくれたらしき僕の服がいつの間にか整えられて、ベッドの横に畳んで置かれていた。
リビングから隆二の声が聞こえる。誰かと話をしているようだ。
「わかった。なるほどね、そういうことか。ありがとう、ああ、そうだ。申し訳ないんだけど、こちらにくるついでにさっきの、うん、買ってきて、そうそう、ありがとう」
僕が起きると、隆二が笑顔で僕に「おはよう」と言った。
「おはよう……どうしたの?」
「いいや、いいんだ。それより稽古行く時間じゃないのか?」
「あっ!」
僕は時計を見て慌てた。やばっ、時間過ぎてる! また僕責められる!
僕は慌てて着替えを取るとすぐにシャワー室に向かった。熱いシャワーを頭から浴びて軽く体を洗うと早く早く! と思いながら、バスタオルで体を拭き、洗面台の鏡の方を向いた。
そこで初めてある事に気づき、僕はあーーーーー!と大声を上げてしまった。
なんてことだ……。
「どうした?」
隆二がのん気にドアを開けて顔を覗かせる。
「隆二……酷いよ、体中にキスマークっ」
鏡を見ると僕の体に無数にキスマークがついてしまっている。
うわぁ、首筋とかにもっ!
「あーごめんごめん。久しぶりだったからつい、でも大丈夫だよ。すぐ消えるから」
「消えないよこれ簡単に! もう!」
僕は慌ててバスタオルを身体に巻くと服を探しに部屋に向かった。ハイネックの服じゃないとダメだ。長袖長袖のハイネック!!
「そんな厚着したら、稽古中大汗かくぞー」
「隆二のせいじゃないかー!」
「別に隠すもんでもないと思うけどな」
とのん気な隆二の声。
ううっ、酷いよ、これは幾らなんでもやりすぎだよ、隆二!
僕は黒いハイネックのシャツを着ると、髪の毛を必死に乾かした。
洗面台にある時計を見て更に焦りが頂点に!
あーご飯食べてる暇ない~!
慌てて歯を磨いていると、ふとテーブルの上に冷蔵庫にしまったはずの煮物が半分なくなっているのを見つけた。
「ああ、今朝いただいたよ、やっぱこっちのが美味しいや、ご飯炊いといたよ」
「あ、あふっがとう!」
僕が歯磨きをしながら言うと隆二はクスりと笑う。
僕はすぐに口をすすぐとすぐに上着とカバンを探してた。だ、台本、台本どこだ?!
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