第42話
「もう泣かないで、笑って……俺のために笑ってくれ。誰が何て言おうとここにいる俺がいいって言っているんだ。自信を持て」
何度も溢れてくる涙を何度も指で拭い、そっと僕の唇にいつもの唇が重なった。
僕は体を隆二の方に向けるとそのまま抱きしめられた。
その頃には上は全く生まれたままの姿で、いつ外したのか下のズボンのボタンも外れていた。
「んっ……うくぅ……うっ……」
彼の舌が自然に口の中に入ってきて、優しく吸われると、僕の冷え切った気持ちが次第に暖かくなっていく。
しばらくぶりだったから余計気持が昂ぶってきて、狂おしく隆二は僕の口の中でしばらく激しく僕の舌を吸い続けた。
僕は意識が遠のきそうになる。
「はぁ……」
口を離すと僕はふと変な事を口走ってしまった。
「うん……ソースが甘い……」
「ふ……さっき君の料理食べたから、結構甘かったよ」
「そうだよね、僕はあんな沢山砂糖入れない……」
「だろ?」
そういうと互いにおでこをくっつけてクスリと笑った。
「隆二は……沢山の人に色々な事言われてて怖くないの?」
「怖くないよ、だって本当の事なんて当の本人にしかわからない事じゃないか。人はあれこれ尾ひれをつけて言うけれど、それが真実ではない事はこの業界にいる人や有名な人、表立って自分を表現している人にはみんなわかっている。僕が君にスーマホとかimatを持たせないのは君が精神的に余り強くないって知ってるし、そんな事で君の魅力をなくしたくない……」
「……」
「もちろん不特定多数の中にはいい人もいるし、応援してくれてる人もいる」
「……うん」
「あのね、ネットの世界はその辺りの道路と変わらないんだよ、困っている時に助けてくれる人もいれば、突然暴力をふるう奴もいる。それと同じで、俺らはその道端で表現していかなければいけない。表現者である以上良く言ってくれる人もいれば悪く言われる事も当然ある。全員に好かれる事なんて絶対無い。確かにその不特定多数で最もな意見もある。だけれどだからと言って悪い方にばかり目を向けても良くはない。難しいんだよこういうのは……」
「……僕は……どうすればいいの? 隆二のファンから良く思われてない」
「本当にそうかな? 俺のファンが全員君を悪く思ってるとは思わないけどな」
「……?」
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