第30話
目が大きく妹役にふさわしい可愛らしさがある、髪の毛がくせっ毛で短く、活発そうなイメージがある。
殺人犯の男にはイルカの団長 香川 翔 (かがわ しょう) さん 僕が虜にする男や女達に それぞれイルカのキャストと大勢出ることになっている。
一通りみんなとの挨拶が終わっても僕は台本の事で頭が一杯で軽くパニックになっていた。
僕はあれこれ考えてる間もなく、台本読みの前に軽く発声練習から始まった。
何も考えないで行こう見ないでおこう。僕は僕だけど僕じゃない。
僕は台本を読もうとすると周りの人は殆ど台本を手にしていない。みんなスラスラ淀みなく台詞が出てくる。
みんな僕より早く台本を受け取ったみたいだ。
しかもみんなセリフの言い回しが上手くて目を見張るようだ。
「守くん、そこ感情の入れ方違うんだよね」
プロデュースを担当した蓮さんが僕に冷ややかな視線を送る。
「そうだね、もっと非情な感じで」
40代位の演出家の劇団海洋にいる高野 あきら (こうの あきら)さんが僕に指摘する。
40代とは思えない程の若々しさで、口元に左右ちょっぴり髭を生やしていて、眼鏡を掛けている。眼光は鋭く厳しそうな面持ちだ。
「もっとさ、女性慣れしてる感じで、彼女と接してるわけだからっ、てああ君女に興味ないんだっけ?」
連さんが意地悪そうに睨む。普通にしていても視線がきつい人なのに、その目が余計に釣りあがっている。
「そんな事ないですよ」
「だろ……」
その時背後から囁く声が聞こえた。
「どうだかね」
「女性経験なさそうじゃね? しかも下手そうだし」
「男は見境なく貪る癖にね」
僕にわざと聞こえるように言う観覧席の人たちのクスクスという笑い声に、僕は全身から血の気が引くようだった。
「ねーねー話聞いてる?」
僕は蓮さんに呼ばれてはっと我に返る。
その後はボロボロだった。
僕のもたつきにイライラする人も多く、焦りが募るばかりだ。
どうしても冒頭の法廷シーンが台詞がまだこなれてない上に頭に入りきらなくてなんどもつまづいてしまう。
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