第8話 学校から帰ってきた藍里ちゃん

ただいま……。


美味しそうな匂い……


エビチリ! 食べる。



お肉の匂いかと思ったらエビチリかぁ。パークチャップかな、とか。全然違うね。


じゃあ今から着替えてくる!


あ、お弁当……美味しかったよ。

ありがとう。


クラスの人たちから私が作ったの? とか聞かれてさ。

違うよって言ったらお母さん? とか聞かれて……そこで違うよって言うのもあれだったから。

褒められたよ。


なんか結構みんな購買とか近くの弁当屋さんで買うんだって。中には自分でも作る子もいるけど冷凍食品を詰めてるみたい。


えっ、あの唐揚げは冷凍の? そんなのわからなかったよ。


パパは冷凍食品とかお惣菜とか……そういうの嫌いだからママが全部作ってた。


そう、ママも作れるんだよ。本当は。


……最近ママのご飯食べてない。

わがまま言えないよね。


時雨くんはこないだ冷凍食品や惣菜は使ってもいいって言ってたからさ。

パパもそうやっていってくれたら……ママは無理することなかったのかな。


なんてね、また昔のこと言ってごめん。


……ちょっとさ、びっくりすることあって。


この間友だちの話したよね。覚えてる?


その時の……幼馴染の男の子が高校にいたんだ。しかも同じクラス。


でしょ、偶然にしては……だよね。

確かに通えなくないんだけどさぁ。岐阜から。


で。聞いたらここ最近こっちの親戚……弁当屋さんの家で下宿してるんだって。


なら納得ーとか思ったけど。

背も高くて顔もシュッとしてて。でもあの頃の面影もあったからすぐ宮部くんって、声が出ちゃった。


そしたら宮部くんも私のこと、藍里! って言うからクラスざわついて大変だった。


彼女かー? とかさ、もう。初日から恥ずかしかったけど宮部くんに学校案内もしてくれたし……席も隣だから心強いよ。


って時雨くん、話聞いてる?


あ、今日もバイトだ……まかないあっちでも出るけど時雨くんのエビチリ食べる。


美味しい、匂いからして絶対に……。

ニンニク? 気にしないよ。



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