第13話 2月

「えへへ~♥ ね、ね、今日って何の日か知ってる……よね?

 え? 身体を寄せすぎてるんじゃないかって?

 うん、愛情表現だから。好き好き~♥ って体全体で伝えてるんだよね~♪」

(それに、キミのにおいも好きだし……、我慢できなくてエッチなこと……しちゃってもいいんだよ?

 ……ふふふ♪ ここまで過激に攻めるってなかったから、キミってば緊張してるね?

 ちょっと、わたしもテンション高いけど……、試作でチョコを食べすぎちゃったからだと思う。

 バレンタインって、女の子にとっても戦いって本当だねー)


「……うん、バレンタインデーだよね。

 キミはチョコ、貰えたの? ……だよねー?

 え~? ニマニマなんかしてないよ~? ところで、これな~んだ」

(あ、チョコって気づいてる! ふふ~、頑張って作ったから美味しく食べてほしいけど~……んふふ~♥)

「どうしてチョコを取り出してるかって? んっふっふ~、こうするから♪

 ほひゃ、はりゃくたべにゃよ~♥ほら、はやくたべなよ~♥

 はにゃくはにゃはやくはや――ん、ん、っちゅ……♥ ん、ちゅ、っちゅ……。


 ん……、ちゅ……ふぁ……。どう、だった? チョコの味……」

(口の中……、チョコとキミの味で満たされて、ボーっとしちゃう……。

 もう一個、咥えたら……また、してくれるかな……?)

「んっ……、ちゅ、ん……んちゅ、れろ……ん、ぁ♥ おい、しい?

 わたしも、おいしいよ……ん、ん、ちゅ……♥」

(舌、からめてくる……。とっても、大人のキス……♥ それに、チョコの味もする……)


「あ……チョコ、手に持ってどうするの……って、え? え? ひゃうっ!? そんなとこ、汚いよぉ……」

(チョコ……お腹のうえに置いて、体温ですこし溶けたとこを舐めるって……キ、キミってば変態すぎだよぉ!

 そ、それにお腹、くすぐったくって……こえ、でちゃう……っ)

「んっ、あ……っ♥ か、感じてるわけじゃ――ひゃう?!

 チョ、チョコもう、無くなってるからぁ! も、もう舐めないでってばぁ……!

 ――って、お腹を舐めたらダメじゃなくて、体を舐めないでって――~~っ!!

 み、耳たぶ咥えないでぇ……♥」


「もう……、ひどいよ! やめてって言ってるのに、ペロペロするのやめないなんてー!

 ……反省してる? 『ごめんごめん、反省してる』……って、全然してないじゃん! わたしでも、怒っちゃうからね!」


「……どうしたら機嫌直してくれるって…………?

 ん。


 なにって……ギューッて抱きしめてよ。

 そうしたら、許してあげるから……」

(ちょっとだけ拗ねて、体をペロペロされた恥ずかしさを隠すようにキミに抱きしめてもらうけど……。

 本当、安心するし……ドキドキする。それに、元々怒っていなかったけど許しちゃうって気になってしまう。

 ……ああ、やっぱりわたしって、チョロい女だなー)

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