第7話 8月
「海だーーっ!
海、海だよ海! あ~、テンション上がっちゃうな~! って、ノリ悪いよキミぃ~?
なに? 『こんな暑いのに元気だな』だって? 当りまえだよ! だって、海だよ海! ずっと入りたいって思ってたんだから!
そ・れ・に~、水着……見たいよね? …………あはは♪ 素直でよろしい!」
(……一片の迷いもなく『見たい』って言ったキミにちょっと引いたけど、それだけわたしの水着……見たかったんだ。
照れるし、恥ずかしいけど……どう、言われるかな? 見惚れてくれたらうれしいけど……)
「お、お待たせ。ど……どう、かな? ……あの、無言だと困るんだけど……?
え。似合ってる……? う、うん、ありがと……。って、つるぺたすとーんってのはよけいなひと言だってば!
『まあまあ、落ち着いて』だと~? だったら、よけいなひと言なんて――言うな―!」
「まったく……、遊ぶ前から体力使わせるなよなー?
ってことで、海に入ろう――って、準備体操? しなくても――わかったわかった。それじゃあ、するよ
いーち、にーい、さーん。しー、ごー、ろーく」
「よっし、準備体操かんりょ~! ってことで今度こそ海に入ろう!
……あっ、ん……っ。ぅあ~……波が来るたびに、足のすきまから砂が零れていく~。
なに? 色っぽい声出すな? ……はは~ん、もしかして興奮しちゃったとか? しかも、今のわたしって水着姿だからのーさつしちゃったとか?
……なんで残念な物を見るような目で……わたしを見るかなぁ?
そんなやつは~~……こうだっ!」
(ぷぷっ、『うわっ!?』とか『目があああぁぁっ!』って笑える! でも、こうやって好きな人と海で掛け合いっこなんてドラマとかの話だって思ってたけど……やるとこんな感じなんだ。
ちょっとバカップルっぽく思っちゃうけど……、楽しいな~)
「え? 顔がニマニマしてる? ……そ、そっかな~? と、とにかく砂浜で遊ぶだけじゃなくて、海の中にも入ろうよ! ほら、はやくはやく!」
「うわぁ~♪ キレイ、海の中すっごくキレイだよ! お魚……は近くにいないけど、遠くまで見えるくらいに透明度が高いよ!
キミも見ようよ! ――ぷはっ。……ね? キレイでしょ?
…………え? あ、ありがと……」
(笑った顔が、キレイって……はずかしいけど、嬉しいな)
「ん~……つっめた~い♥ どうして夏の海で食べるカキ氷って普通に食べるのより美味しいんだろうね?
キミのは……ブルーハワイなんだね。え、わたしのはイチゴだよ。
……キミの、ちょっと食べてみたいな~? ……え、いいの?
じゃ、じゃあさ、わたしのもあげるから……あ、あ~ん、しよ?
え? え、その……う、うん、わ……わたしがあ~んしたいし、してほしいんだよっ! ……うぅぅ」
(は、恥ずかしぃ……! キ、キミのいじわるぅ!)
「そんなに怒るな……? べ、別に、怒ってなんかないから! むぅ~……、ほら、はやくあ~んしよ、あ~ん!
…………あ、あ~ん……。……お、美味しい?」
(あ……、顔赤い……。キミも、恥ずかしかったんだ。わたしだって、恥ずかしいんだよ?)
「え、えへへ……♥」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます