【供述】

「……おはようございます」


「はい、来栖湊です」


「どうして、ですか……」


「見えないものを、見たかったんです」


「お父さんが嬉しそうに語っていたから、私も見たかったんです」


「でもどうやっても見る事が出来ませんでした。けれどお母さんは見る事が出来て、とても羨ましかったんです」


「それからすぐに、優くんに会いました」


「彼は見えない力を使って鹿を呼び寄せたんです。見えないものを使う人がいるんだって初めて知って、とても嬉しくて、彼にどうにか頼んで見せてもらおうと思ったんです」


「すぐには会えなくて。自然な出会いの方が彼は振り向いてくれると思ったから、高校生になって、彼にお願いしました」


「でも中々その願いを叶えてくれませんでした。だから、私が彼に力を与えようと思ったんです」


「それで、彼が本当に力を使っているように思いこんでもらって、本当に力を使えるようになってもらおうとしたんです」


「でも、優くんは最後まで力を手に入れてくれなくて。私もちょっとがっかりしちゃったんです」


「でもでもっ、優くんは本当の最後で、ないはずの弾で、自分の頭を撃ったんです!」


「彼は本当に力を使ったんですよ!?」


「きれいだったなぁ」


「もう一度見たいなぁ」


「見えないものを見る事が出来たんだから、会えますよね?」


「もう一度、優くんに……」

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