記憶の欠片~彼女の心の片隅に~

 なんか嬉しいな~、お休みの日にキミに会えるなんて。

 しかも、偶然!

 ・・・・先にキミを見つけたのが私、ってのが、ちょっと悔しいけど。

 え?

 何で悔しいか、わからないの?

 もうっ!

 キミが私を先に見つけてくれてたら、もっと嬉しかった、ってこと!

 ・・・・えぇっ?!

 まだ、わからないの?!

 もう、いい。

 い・い・で・すっ!

 別に、怒ってませんけどっ?!

 ・・・・キミちょっと、鈍くない?


 あ~、ここ、覚えてる。

 小学校の時よく遊んだなぁ、この公園。

 小さい頃はもっと広く感じたのに、こんなに狭かったっけ?

 え?

 キミもここで遊んでたの?

 じゃ、やっぱり小学校の時に転校してきたんだねー。

 だって、中学生になったらもう、こんなとこで遊んだりしないでしょ。

 何にも無い、ただの広場。

 だけどね、私。

 大好きだったんだ、この公園。

 ほら。

 シロツメクサが、たくさん生えてるでしょ?

 お花が咲く時期には、お花で冠作ったりして、ね。

 そうじゃない時期には、鬼ごっことか、ドロケイとか。

 ね、やったよね、ドロケイ!

 ・・・・おばあちゃんの家の方ではね、ケイドロって言うんだよ?

 やっぱり、ドロケイ、だよねぇ?

 ふふふ。


 ・・・・ん?なにしてるの?

 何か、落としちゃったの?

 えっ・・・・これ、四つ葉のクローバー!

 私にくれるの?

 私のために、探してくれたの?!

 ありがとう!

 実は私ね、小さい頃から、四つ葉のクローバーが大好きなの。

 だから一生懸命探すんだけど、探し方が下手なのか、私全然見つけられなくて。

 でもね。

 ものすごく探すのが上手で、いつも私のために一緒に探して見つけてくれた人がいてね・・・・


 あれ?

 誰、だっけ?

 いっつも、今のキミみたいに、四つ葉のクローバー見つけてくれては、私にくれてた人。

 私は貰った四葉のクローバーを押し花にして栞を作ったり、ラミネート加工してストラップを作ったりして、その人にあげたりしてたんだけど・・・・

 うん。

 確かに、あげてた。

 その人はいっつも嬉しそうに受け取ってくれた。

 なのに、なんでだろう・・・・なんで思い出せないんだろう・・・・

 それに。

 どうしてこんなに、胸が痛いんだろう・・・・


 えっ?なに?

 なんでハンカチなんか・・・・

 あれっ?!

 私、いつの間に泣いて・・・・


 ごめん、ごめんね。

 どうしたんだろう・・・・涙が、止まらない。

 胸が物凄く痛い。キュッってする。

 ねぇ、お願い。

 私が、泣き止むまで。

 少しだけでいいから・・・・一緒に、側に、いて・・・・



 へへっ、恥ずかしいな。

 キミに泣き顔バッチリ見られちゃったね。

 あーもう、目も鼻も赤くなっちゃってるよね、ほんと恥ずかしいなぁ・・・・こんなに泣いたの、いつ以来だろう?

 ほんと、子供みたい。


 ハンカチ、ありがとう。

 それから、ずっと一緒にいてくれて、ありがとう。

 ハンカチ、洗って返すから、このまま借りておくね。

 えっ?

 そのままでいいって?

 ・・・・ダメダメ!

 ちゃんと洗って返したいの。

 こんなに、クシャクシャにしちゃったし。

 それに。

 ちょっとしたお礼も、したいから。

 だから・・・・ね?

 それじゃ、ここで。

 また、明日。

 学校で、ね!

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