第8話 余白の美と故郷のお話

(誤って白紙のまま投稿した為、お詫びとして番外編を掲載いたします)






「ねえねえ。余白の美って、なあに?」

「それはだな。作者さまが中学校の美術で習ったワードらしい」

「美術の事?」

「日本のね」

「どんな意味なの?」

「詳しくは知らないんだけど、余白に何か詩情を込める……みたいな意味らしい」

「らしい……なんだね」

「うむ。俺、日本人じゃないし、日本の文化に詳しいわけでもないし。多分、日本の屏風絵みたいな奴だと思う」

「なるほど……って、私もよくわかんないけど。じゃあさ、アンタは何処の出身なの?」

「俺は遼東共和国出身。遼東半島は日露戦争後に日本の領土になった。日本が太平洋戦争に敗戦した後、遼東共和国として独立(注1)したんだよ」

「へえ。半島って聞いてたから朝鮮半島かと思ってた」

「おい。あそことは一緒にすんな」

「怒ってる……あんたが怒るなんて珍しいね。統一朝鮮と一緒にされるの、そんなに嫌なんだね」

「死ぬほど嫌だね。じゃあさ。エリちゃんの故郷は何処なの?」

「私はね、ウラジオストク。ロシア人なんだ」

「そうか。ロシア革命後に移住したの?」

「うーん。私のご先祖様はユダヤ人で、元々はオーストリアに住んでたらしいの」

「え? じゃあ、ナチスの迫害に遭った?」

「そうらしい。それで当時のソ連に逃げたの。そして、たどり着いたのがウラジオストク。本当は日本に行きたかったみたい」

「そうだったんだ。でも、今は日本にいる。ご先祖様の夢が叶ったんだな」

「うん。そうだね。ちょっと記憶があいまいだけど、偶然でも日本に来たって思うと嬉しいよ。じゃあさ。アンタはどうなの? 反日国家だったんでしょ?」

「そうだけどな。俺たちの国は、あの中国共産党の圧力をかわすために反日やってたんだよ。要するに、親日や親米政策を取れば人民解放軍が押し寄せてくる。だから、みんな反日政策は仕方がないと思ってたんだ。ネットは自由に繋がっていたから、日本の事はよく知っていた。俺たちは嘘が大嫌いだったから、慰安婦問題とか南京事件とか731部隊の話とか、そんなでっち上げで日本を批判したりしなかった。むしろ、欧米列強の植民支配とそれを真似した日本を厳しく批判していたんだ」

「うーん。よくわかんないな。731部隊って、もしかしてモビルスーツ部隊の事?」

「ああ、06ゼロロクの……って違う。旧陸軍の防疫部隊の事さ。日本と違って、大陸では衛生環境が悪かった。戦闘で死傷するよりも、伝染病で倒れる将兵の方が多かったんだ。特に、部隊に衛生的な水を供給する事が最も重要とされていた」

「なるほど。だから防疫部隊なんだね。アンタ、日本の事、結構詳しいじゃん」

「まあな。俺たち遼東人は嘘が大っ嫌いだからな。特に中共と朝鮮の嘘は許さん」

「なるほどね。で、アンタも日本が大好きだったって事ね」

「ま……そうかな。偶然だけど、日本に来れて嬉しいよ」

「うんうん。嬉しいね。良かったね」


(注1)遼東共和国に関するアレコレは全部フィクションです。信じちゃダメだぞ。

(注2)06(ゼロロク)=MS06ザクⅡの事。

(注3)南京事件や慰安婦問題、731部隊の人体実験などは嘘八百であって事実ではない。一次資料を漁ってもそんな事実は出てこないんだなあ。私の思想的立ち位置はこちら側。

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