若草きらりはキラキラしたいし、真泥三よどみは寝ていたい

朝定食

第一章 若草きらりはキラキラしたい

若草きらりはキラキラを夢見る

私、若草きらり。

16歳の高校一年生、そして新人魔法少女なのです!

魔法少女、あぁいい響き。キラキラしてる!


最近は魔法少女に風当たりもかなり強いけど、それでもやっぱり、怪物ヴェイグリアと戦う皆のヒーロー、魔法少女には人気者も多い。


『サラ様』こと篠原サラさんや、魔法少女コンビの『レイン』、吉永真紀ちゃんと前野鶴美ちゃんの『ヨシマエコンビ』……挙げれば名の知れた人は一杯いる。


どの人たちも凄いけど、やっぱり1番の憧れは魔法少女のアイドル、

『マヤちゃん』こと長瀬摩耶さん!

ピンクのサイドテールがトレードマークで、いつもはキュートで可愛いけど、戦う時は両手剣でカッコよく決める!


キラキラしてる!

これぞ、アタシの目指すとこだよ!

アタシもマヤちゃんみたいに人気者の魔法少女になるぞー!おー!



………と、張り切って2週間。全然キラキラできてない。というかクラスのみんなにすら魔法少女だって認知されてない。


だって、この街平和過ぎるの。

魔法少女に変身してみたけど、トラブル一つないってある!?

一回だけ、側溝にはまった車を出すの手伝っただけ………感謝はされたけど、これって魔法少女の仕事じゃなくない!?



そんな感じで頭を悩ませてたアタシだったけど、良いことクラスメイトから聞いちゃった。

隣のクラスに魔法少女がいるらしいの!

名前は真泥三まどろみよどみちゃん。


やったー!チャンスだよ。

この子を誘ってコンビを組めば、一気に活動範囲を広げられるし有名になるかも。


早速、隣のクラスに行く。


「あの、真泥三よどみさん居ますかー!」


声をかけるけど、待てども待てども返事がこない。

見かねた隣のクラスの人が声をかけてくれた。


「3組の若草さんだよね、よどみさんならこっちだよ。」


手を引かれて、着いていくとタオルケットを敷いて机に突っ伏して寝ている女子生徒が。


「よどみさん、起きてぇ。お客さんだよ。」


「ぐぅ……んっ………」


揺すられるともぞもぞと動き出す。起きたみたいだ。


「誰………」


女性にしてはかなり低めの声、イケボだ。


「隣のクラスの若草きらりさん。よどみさんに用だって。」


その声でようやく体を起こして、アタシの前に立ち上がった。


腰ぐらいまで伸びた黒髪はボッサボサで顔にかかってて、覇気っていうのかな?元気さが全然感じられない。


うーん、この人と組んでもかなぁ。

そう思ったけど、すぐに間違いだって気付いた。


「………何の用?」


顔にかかっててた前髪を雑に払って、私を見た。

うそ、めちゃくちゃ顔がイイ!!

線の細いクール系の整った顔立ちで、切れ長の目………女性らしいカッコ良さで溢れてる。

この人だ!

キュート系のアタシと、クール系のよどみさん。

コンビになったら絶対映える!!


「アタシと魔法少女コンビを組んでください!!」


「めんどいからヤダ。」


アタシの一世一代の口説きは5秒で簡単に終わった。

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