色々と修羅場の多い学校生活

@morukaaa37

第1話


 

 「あー、彼女欲しい」


 「は?何突然。キモ」

 「お前には、樋口がいるだろ」


 夜中、ベットに潜りながら、オレは少し感情を込めて呟く。すると、すぐに男2人の声が聞こえてきた。

 オレの耳にはイヤホン。傍には、薄暗く光るスマホの画面がある。


 「ちっ、黙れ。ただの冗談だろ。てかお前ら、通話すんなら話題用意しとけよ。特に話すこともないのにかけてくんな」


 「お?たっちゃんが樋口ネタに反応しなくなったぞ」

 「樋口ーーーー!!!!」


 画面の向こう側にいるのはオレのトモダ──知り合いで、学校のクラスメイトだ。

 煽ってくんのが水沢侑士みずさわゆうし。そして、更に煽ってくんのが平野海斗ひらのかいとという、らしい。どっちも、煽ってしかねぇじゃねぇか。死ね。


 「抜けるわ」


 真夜中に耳元で叫ばれるとか、ほぼ暴力だ。スマホの電源を切ろう。ついでに縁も切りたい。


 「ああ、ちょっごめんって!これも冗談だろ?」


 「まじ、お前抜けたら誰が俺たちを起こすんだよ」


 明日は学校で小テストのオンパレードがある。なので、このバカ2人はお互いに起こし合い、徹夜して勉強をするため通話を始めたらしい。だが、残念なことに、このままでは2人とも同時に寝てしまうという事実に気づいたらしく、オレに白羽の矢を向けてきたというわけだ。

 え?オレは勉強しなくていいのかって?問題ない、とうに諦めてる。正味、定期テストでガチればいいんだよ。


 「知るか!それこそ樋口に頼めよ!あいつ、どうせ起きてるだろ!お前らみたいに勉強してるだろうし」


 「あー、樋口は、寝てんじゃねぇの?あいつ、元々勉強できるじゃん。こんな一時の夜中に起きるほどバカじゃないだろ」


 水沢は、はっと息を出してそう言う。


 「おい待て。その言い方だと、オレまでバカみたいになるからやめろ」


 「えー、お前俺たちよりバカじゃん。前回の小テスト何点だったよ?」


 「2点」


 「逆に何が合ってたか気になるわ!」

 

 数学のテストは適当に書けば勝手に加担してくれるからありがたい。暗記科目はゴミだ。ガリ勉が絶対勝つようになってるとか万死に値する。


 「てかさ、お前らオレと話してるけど勉強してんの?明日、英IIの小テ範囲バカ広いぞ?今更やって間に合うか?」


 ふと思いつき、そう言うと、案の定2人からはこう返ってきた。


 「「ああ、英IIは捨てた」」


 「ですよねーー」


 こいつら、はなから勉強するきなどないらしい。

 アレコレ言って、どうせ暇だったから通話を始めただけなのだろう。


 「じゃ、寝るわ」


 「は?おい、待て!まだ何一つまともな話してないだろ!」

 「いいのか!?樋口について話したほうがいいんじゃないか?色々」


 「色々ってなんだ!ただのオレの幼馴染だろ!もう、一時なんだよ!俺は寝る!」


 最後にそう叫ぶと、オレはイヤホンについたボタンを押す。プツッとノイズが切れる音がした。


 「はぁ、寝る前に疲れた……」


 一息ため息をつくと、オレは布団をかけ直し、横になる。


 ((あぁ、勉強してねーーー


 寝る間際、オレは憂鬱さを感じながらそう呟いた。

 


 

 

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