第2話 学校に行く理由

 入学式が終わってクラスに戻ったらぁ、みんなドキドキ自己紹介の時間だう♡あたし何話したらいいかわかんなぁ~い(ぴえん)


この流れにノれるJKになりたい人生だった。あ、遺言じゃないよ。

年上高身長金持ちイケメンがクラスにいる学級委員長で高身長眼鏡イケメンとあんなことやそんなことをしてるのを生で見れるってんなら話は別だけど


生憎うちの学級委員長はクソデカ大声清水君なんですわ。もう笑うしかねぇ

恋愛漫画だとあたしゃ副学級委員で放課後に荷物持ってったり相合傘してチュッチュしてるんだろうけどここは恋愛漫画じゃないからね。佐藤と清水のイチャイチャが欲しいなら佐藤も清水もその辺に転がってるはずだからポテチか何かを献上してイチャコラしてもらうんだな!残念だったなぁへっへっへ

そう、役職無し!友達無し!彼氏無し!これで苗字が丸山なら三無い丸山なんつって…ごめんて


とかなんとか言ったたらなんか高身長以外は全部逆な委員長が来たよこりゃ、のり塩味のポテチでも献上すんのか?コンソメ以外認めんぞ⁉


「佐藤さん(イケボ)」


「セクハラで訴えますよ」


「訴る前にこちらの質問に答えていただこうか」


なんやこいつ、手ぶらで話しかけてくるとは失敬な。こっちは今朝母親に中二病の仮病使って


『来たれ!闇の天龍!汝との古の契約に基づき我が檻を打ち砕かん!!』


って叫んだのに


「あんたはそういう子じゃないでしょ。中二病の仮病くらいじゃ休ませませんからね大体あんたは(以下略)」


とか言われて凹んでる最中なんやぞ、相当の理由があるんだろうな、あ?



…どうしよう、佐藤さんがめちゃくちゃ怖い

え、俺なんかした?どうも清水です。声かけただけなのにすんごい睨まれた経験あるよね。今まさにその状況なんだけどこういう時の最善策教えてくださいなんでもしますから(何でもするとは言ってない)


俺はただ隣になった奴と仲良くなる為に話しかけただけなんだ!友達作ろうとして何が悪い!


「で?なんか用?」


「佐藤さん、実は俺も元ヲタクでさ」


「ほう、私がヲタクであると決めつけられているのは心外ですが話を聞きましょう」


「趣味が合うものあるかなぁって」


「趣味…私は絵画鑑賞ですね(意味深)」


「趣味がパッと言えるのって凄いや、俺ミーハーだからたまに何が好きか分かんなくなるんだよ。」


「じゃあ今無趣味なんだ?」


「いや、今ハマってるのはすれ違い通信かな。学校が一番多くすれ違えるからさ」


そう言って彼が取り出した携帯ゲーム機には妖怪時計の真打がセットされていた。懐かしさのあまりいくつか浮かんだツッコミを言葉にできず、私はこっそり明日学校にそのゲーム機のLL版を持っていくことを決意した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る