第2話 好みのタイプ、発見

 翌日の土曜日、私と由里は早速イベントへと向かう。来年は受験で来られるかどうかわからない。今年は目いっぱい楽しまなければ、と二人して気合を入れた。

「なぁんか出逢いとかないかなぁ」

 そんな私の言葉に由里は「あるんじゃない? お化けと」と言ってクスクス笑う。くだらない冗談だ。私はこれみよがしに大きくため息をついたが由里は気にする様子もない。こういう空気の読めないところがムカムカする。気を取り直し公園内に足を踏み入れると正面にお化け屋敷が見えてきた。外から見る分には大きなプレハブ小屋という感じだ。

「へぇ、結構大きいんだねぇ。あ、あの人、沙織のタイプじゃない?」

「えぇ? どの人?」

 由里の指さす方を見ると大学生のアルバイトらしき男性がお化け屋敷の呼び込みをしている。すらりと背が高く少し明るいサラサラの髪をしたイケメンだ。

「やっぱ沙織の好きなタイプだよね? 話しかけてみたら?」

 私は頷きドキドキしながらお化け屋敷の列に並んだ。同じように彼を目当てに並んでいる女子もいそうだ。私は由里に「ちょっと並んでて」と言いトイレに向かう。鏡に向かい念入りに自分をチェックした。校則が厳しいので髪は染められない。真っ黒な髪がちょっとイケてないが仕方ない。この前美容院に行ったばかりなのでツヤツヤのストレートボブ。まぁいいだろう。いつもショートカットで猿みたいな由里よりは随分マシだ。由里は馬鹿正直で融通が利かず苛々させられることも多いが引き立て役には丁度いい。

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