第44話 肩ポン(俺に任せろ


「ご主人さま起きてください」


 アルファさんに揺すられる。



 いやまあ疲れというよりサウナで整った勢いでそのまま眠って、アルファさんと一戦交えなかったけど夜中に起こされるのは初めてだな。


 なんて考えながら、寝てる意識がはっきりしてくる。

 アルファさんの声が、を求めているエチエチな空気じゃないのはすぐに気付いた。


 普段の野営ならここまで気を抜いてぐっすり眠ることなんて無いんだけど油断してた!



 いやまあ自分ひとりの世界なら、〈箱庭〉の中にいれば第三者の侵入はまず無いから油断しまくってても全く問題ないんだけど。


 その意識だったから、まさか『』なんて想像もしていなかった。


 いやもちろん治安は良くない、国の庇護から外れた途端にどこの世紀末だよ状態なのは知ってるけどなんで今のタイミングなんだよ!





「アルファ、援護頼む!」


〈状況記録〉魔法を起動し、全速力で村に向かう。

 いつものくたびれたシャツと黒チノパン風。こう見えてクイーンスパイダーの糸で編んでるので斬撃や魔法攻撃にはすごく強い。

 あと装備効果のあるアクセサリが数種。『記録宝珠のネックレス』は宝珠が大きく派手でゴージャスだからちょっと恥ずかしい。


 村に入る。南側、王国側の門の近くに半分、10軒ぐらい家が固まっている。

 残り半分は自分の畑の近くに家を構えている。20世帯50人ほどかな。

 村長宅、イノアの実家もメインストリートから少し離れたところにある。



 少し離れたところで何軒か家が燃やされている。住人こちらに逃げてきていればいいんだけど、嫌な予感がする。相手が悪い。



 村の住人たちと向き合ってる相手の鎧姿が揃いすぎている。

 胸についているべき紋章が外されてるけどこのフォルムは見たことある。どこの帝国軍だよ・・・。




 村人軍の最前線にキューサを見つけた。

 ヒーラーのあんたが最前線に出てどうする。


 とはいえ、ざっと見渡した感じ衛兵や狩人と同じ程度は戦えるってところか。

 帝国軍の下っ端と1対1で勝負になるレベルというと、数に勝る相手にはそれだけで勝てないよな。

 1対多の形を作って個別撃破していくだけで村の自警団なんて壊滅してしまう。そして軍属はその手の連携、集団行動がとても上手く強い。


 オジさんとは言わなくてもB~C級アタッカーが一人でもいればこんな20人ぐらいどうにでもなりそうなんだけど、そういう人がいないときを狙ったか誘い出されたか。




 キューサに肩ポン。


「ユージ!?」


 振り返ったキューサが驚きの声を出すけど片手をあげて応え、最前線防衛ラインから俺一人だけ前に出る。



「なんだ貴様、我らに楯突くつもりか」


「抵抗してもしなくても、なぶり殺ししか無いんでしょ?」






――――――――――――――――

やっちまいました。

普通の強盗集団相手なら2話×3分割ぐらいで済むのに、キューサの村が落ち着いてユージが離れられるようになるまで10話×3ぐらい続くかも。


ダンジョン攻略編(?)は意識してわざと詳細に書いてみたけど、長くなりすぎた気がして途中で切り上げちゃったし。

対帝国編も書きたいシチュエーションだけは多いけど、中途半端に打ち切りとかやってしまいそう。

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