小さな大捜査線
美作為朝
図書館にて
Whooooow Yeah, Hellow KAKUYOMU.
僕の名前は、
チャールズ・ディケンズ的な人物紹介は置いといてクラスは
担任は最近フラれたらしいハイミスの
先生は男を捕まえて結婚することだけを考えてる。
両親からかなり圧力をかけられているそうで「無職でいいから奥さんみたいな男の人がほしい」とよく給食の時間にこぼしてます。
副担任はマッチョでおバカな
僕は体育がダメなので必然的にマッチョな田上先生は好きじゃない。
最初にイェーイとか書いて失敗したけど、僕はそんな陽キャラじゃない。
クラスのヒエラルキーも高いほうじゃない。
本が好きで得意なのは作文。
みんながたった一枚書くのに四苦八苦してるなか先生の教卓のところに行って原稿用紙を何枚も書いちゃう。だけど国語は嫌い。
長文読解の<このときの誰々の気持ちを答えなさい>という問いを解答用紙の裏まで使って書くんだけど点が出ないつかない。僕のほうが絶対星山先生よりちゃんと読み取れてると思うんだけどね。
実は誰にも言ってないけど僕は大天才の名探偵なのだ。
僕の周りで起きた出来事をほぼ何故おきたか推理してあてることが出来る。
と、思ってるカナ。
今は放課後、もうかなりむし暑い季節なのにみんながグラウンドで体育会系のクラブで頑張っている様子を窓から時々眺めつつ図書室で日本十進分類表に従って蔵書を並べ直してます。
そこに、、、。
『ピンポンパンポーン♪♪、えーまだ校内に残っている在校生の児童に連絡します』
おっと、校内放送だ。この声は教頭先生だ。
『えー。五年一組の
またかぁ、、、。
タケ君はちょっと変わった子供だ。
正確には”なんとか薄弱”とか”なんとか障害”っていうらしいけど、よく知らないし知りたくない。
そんな風にタケ君を分類するのはちょっと可愛そうだ。
だって、僕らとタケ君は同じ人間なんだから。
タケ君はいつもしかめっ面をしていて、ほとんどしゃべらない。
授業中はめちゃめちゃ良い子供だ。
授業中はただただ机につっぷして黒板を死んだ目で眺めている。
とにかく時間割の6時間を耐えてる。
ほらみんなと一緒でしょ。
体育の時間はみんなと逆の方向に走っていっちゃったりするけどあれは、小学生にして哲学的な取り組みを試しているだけだ。
だけど毎回マッチョな副担任の田上先生が5秒でタケ君を捕まえるけど。
どうしてみんなと同じ体操服を着て同じ方向に走らなければならないのか僕にもわからない。
タケ君は給食もしかめっ面のまま食べる。
これも給食そのものがあまりおいしくないことを市の教育委員会に無言で訴えているだけだ。
そのタケ君が学校生活で唯一しかめっ面をしない場所がある。
それがこの図書室だ。
好きな本は図鑑。タケ君は図鑑で世界を学ぶ。そういう勉強の仕方も良いと思う。
実際図書室をどう使うのか学ぶ授業も存在する。
本好きな僕とタケ君は同志で同類なのだ。
僕はタケ君がしかめっ面をせずに活き活きした目で電車や昆虫を図鑑に授業中とは真逆の意味でつっぷしてへばりつくようにして眺めているのを見るのが好きだ。
しかし、、タケ君にも問題がないわけではない。
二週間に一度ぐらい行方不明になってしまうのだ。
僕自身はこの行方不明って呼び方もあまり好きではないんだけど。
寄り道をしない小学生なんていないと思う。
ましてやどこへ行こうと自由だろ。
この角を曲がるとどういった景色が広がるのか?
この道がここに通じているのか?とか、
なになに君の家からこっちは日暮れが早いとか、、。
でも、そうじゃないこともわからないでもない。
タケ君は”なんとか障害”なのでタケ君とタケ君のお母さんとで約束があるらしい。
帰り道が決められているのだ。
タケ君のお母さんから連絡が入ると通常、さっきの校内放送が流れて
もちろん警察も動員される。
サイレンを鳴らして街中を走り回るわけではないけど赤色灯だけはぐるぐる回して婦警さんが乗った小さな可愛いパトカーが校区内を走り回る。
下校してから外で遊んでいる子もそれでタケ君の行方不明を知る。
でも、タケ君の冒険は半端じゃない。
一番大騒ぎになったのは、ニュータウンと呼ばれる実のところ団地なんだけど、その7階建ての屋上に真夜中まで居たやつだ。
そんな高いところにいれば地上をパトカーでどれだけ走っても見つからないはずだ。
発見したのはその団地の7階に住むとあるおばあさん。
おばあさんは団地の集合アンテナに誰かの洗濯物が引っかかっていると思ったらしいが、それはTシャツ一枚に手足を入れて団子虫みたいになっているタケ君だったのだ。
実際屋上まで登るときはえっほえっほと暑かったかもしれない。
タケ君はどんどん上着を脱いでその衣服が集合アンテナに引っかかっていたのだ。
しかし、屋上は風がすき荒む大旋風地帯だった。相当寒かったらしい。
真夜中、消防のはしご車がやってきてタケ君を下ろした。
僕はしらないけどタケ君は顔面や唇どころか、全身のいたるところがが真っ白になっていたという。
とまぁ、タケ君は行きたいところに行っている間に戻れないところに行っている場合もあるのだ。
同じ学校とか仲間とかを超えて、同じ人間として探さないわけにはいかない。
校内放送が鳴ったのだ、捜索に出ないといかない。
が、僕はタケ君の<行きたい所に行ける>権利を断固として尊重する。
だから、すぐには探しに行かない。
4時45分の下校時間ギリギリまで図書室に残り静かに本を読む。
読むのはミステリ。
今現在、タケ君は至福の時間を過ごしているのかもしれないから。
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