千夜一夜告解語

缶津メメ

夜の章

第1話 2月10日

「…………理想の死に方、っていうか。埋葬?はあるかな」


二月十日、朝。××市内にて、青年の死体が発見された。死因は失血死。調べによると、青年は深夜路上で刺され、犯人はそのまま逃走。

警察の調べにより、青年の身元が判明。近所の団地に住む職業不明の二十四歳男性、「一之瀬朔」であると断定。確認作業を進める。


「おれねえ、鳥葬がいい。知ってる?鳥葬。鳥に食べてもらうやつ」


二月十二日、午前十時ごろ。警察に男性が出頭。


「―――――――土に、還りたいとか?ああ、そういうんじゃないよ。ただ墓に入りたくないってだけ」


――――――「この間の事件は私がやりました」と供述しており、警察は更に調査を進めている。


「――――――――墓はさ、中に他の人の骨も入ってるだろ。おれ、それならひとりでいたい派なんだよねえ。だから鳥葬。どう?良いと思わない?」


二月十三日、男を逮捕。

「誰でも良かった」と供述しており―――――――――


「まあでもさ、ぶっちゃけおれ、死体遺棄でも全然かまわないんだよね。え?雑?いやあ、でもさ。そんくらいがいいと思うよ、おれは」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る