シャドウの僕とパンドラの彼女

瑠璃川あおい

第1話 再会


100年前、巨大な地震が世界同時に発生した。大陸のほとんどは海に沈み、そこに暮らす人も動物も一夜にして消えた。

後にこの日の出来事は地球大改革の日と呼ばれるようになる。


この日を生き残った人達は、神様の気まぐれだ、自分達は神様に選ばれたんだと、口々に言っている。

地球が一変してから、人間は超人的な能力を持つようになり、大改革前よりも遥かに発展していることは確かである。


僕は地球大改革の日から、自分の意志で、思いのままに動くことができるようになった。


そんな僕にはやらなくちゃいけないことがある。

それは大切な彼女を見つけること。これは100年前から変わらない。

彼女は、地球大改革の日の少し前に忽然と姿を消した。僕や大切な人に何も言わずに。


僕は多くの国や星を周り、彼女の事を探した。

けれど、訊ねた先々でまともに取り合ってくれないことも多く、聞くだけ聞いて腹を抱えて笑う人もいた。

確かにそうだよね。彼女は地球大改革の日の前に姿を消した。周りが言う、神様に選ばれた人とは限らない。ちょっと家出をして、そのまま地球大改革の日を迎えて、一人ぼっちで死んでいったかもしれない。


でも、僕にはわかるんだ。彼女は生きてるって。

彼女が死ぬまでずっと一緒にいるはずだったんだから。

何年も何年も探して、唯一信じてくれる人が現れた。マナカさんという人で、20年くらい前に出会ったんだ。

マナカさんに初めて会った時、僕びっくりしたんだ。

僕の顔を見るなり、マナカさん急に涙を流したんだ。僕、どうしたらいいかわからなくて凄い焦ったのを覚えてる。


なぜかわからないけど、マナカさんは彼女のことよく知っていて、すぐに意気投合したんだ。それからマナカさんが警察官ということもあって、僕も警察官を目指すようになった。警察の仲間入りを果たしたあとは、警察の情報網を使って探すようになった。


そんなある日、行方不明者の捜索中に発見した怪しい研究所。

そこで、僕は再会したんだ、彼女に。

でも、彼女は僕の知っている彼女ではなかった。

僕の知っている彼女は正義感が強くて、曲がったことが嫌いで、純粋無垢で…

なのに何で…


これが地球大改革の日からちょうど100年目の出来事である。


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