第2話・特別授業の謎



 私、渚ちゃん、真紀ちゃん、茉莉花ちゃん、厚くん、武くんの六人は、同じ班だった。

 A班が私たち六人で、B班とC班が約十人前後。私たちの班が一番少ない。かなり人数に差があるなぁ。


「じゃあ、B班は二年の教室、C班は三年生の教室に移動してくれ。そこで、先輩と担当の先生から説明を受けるように。A班は、ここで待機。担当は、俺だから」


 亘先生の指示で、B班とC班の子たちは、教室を出て行った。

 A班の私たちは、


「お前ら、前の方においで。もうすぐ、先輩とか来るからさ」


 と亘先生に言われて、前の方の席に移動する。

 そして、亘先生は教卓の前に座った私の顔をじっと見つめると、


「さてと……全員揃う前に説明をするか、全員揃ってから……いや、保護者が来てから説明した方がいいか」


 と苦笑した。


「説明って、何? これからする事?」


「そう。この特別授業の事。小花は多分、いろいろと驚くと思うよ」


「驚くっていうのなら、みんな一緒なんじゃないの?」


「うん、そう思うよね。でもね、そうでも、ないんだなぁ、これが」


 亘先生は苦笑し、私以外の五人のクラスメイトへと視線を向けた。

 え? もしかして、私以外のみんなは、特別授業の事、知っているの?


「小花ちゃん、私たちは、特別授業の事を知っているのです。この特別授業のために、家で特訓してきましたから」


 渚ちゃんの言葉を聞いて、私は驚いた。私以外のみんなが知っているっていう事にも驚いたけど、特訓って何、と思う。

 家で特訓してこなきゃいけないようなものなのなら、どうして先に教えてくれないのか。


「小花はね、特訓しなくても、適正Aだったから大丈夫だよ。運動神経もいいし、妖気の浄化力もすごかったねぇ」


「え? 何それ?」


 妖気? 浄化力? 何、それ。


「体力測定でさ、最後に水鉄砲渡したでしょ」


「ああ、あれ! すっごく楽しかった! 水鉄砲で水をかけたら、黒いのがどんどん消えてくの!」


 またやりたい、というと、いいよ、と亘先生は頷いた。


「あの黒いのがさ、妖気なの。妖気っていうのは、簡単に言うと、人間の悪意みたいなマイナスの感情から発生する、良くないもの。放っておくと人に取り付いたり、集まって妖魔になったり、強い妖魔に吸収されたりするから、日本中に妖気を集める術式を置いて、この学園に転送して、浄化するようにしてるんだけどさ」


 何? どういう事?

 今、不思議な事を聞いたような気がする。

 まるで、アクション漫画の世界みたいな感じ?


「先生、一体、何の話をしているんですか?」


「もちろん、これから行う特別授業の話だよ」


「ごめんなさい、私、意味がわからないです」


「だよねぇ」


 困ったような表情をする、亘先生。

 そんな表情をされても困る。だって、私にはさっぱり何がなんだかわからないのだもの。

 助けを求めようと、隣の席に座った渚ちゃんへと目を向けたけど、亘先生と同じように困った表情をするだけだった。


「悪い、お待たせ」


 ちい兄の声が教室の後ろドアの方から聞こえて、私は振り返った。

 ちい兄は救いを求めるように顔を見つめた私を見て、一瞬驚いたような顔になったけど、すぐに亘先生たちと同じような困った表情になった。

 もう、ちい兄まで、何なのよ、それ。



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