第3章:四家と妖滅
第1話・AクラスA班
クラスで班分けを行う、と先生が言い出したのは、入学してから二週間くらいした時だった。
学校にもクラスにもだいぶ慣れてきた私は、毎日がとても楽しい。
「亘先生、それ、何のための班なの?」
質問すると、特別授業だ、と亘先生は答えたくれた。
特別授業って、何をするんだろう?
余談だが、私たちは周央亘先生を、「亘先生」と、下の名前で呼ぶ事にした。
亘先生は、周央崇理事長の弟なので、先輩たちも下の名前で呼んでいるらしい。
ちい兄たちは、「わたるん」なんて呼び方をしているらしいんだけど、さすがにそれは止めておこうかという事で、亘先生呼びになった。
「特別授業は、A組とB組は内容が違うから。あと、A組は、高等部の一年生から三年生まで合同で行うからね」
特別授業かぁ。いろいろと変わった事をする学校だなぁと思う。
そう言えば、先週体力測定があったんだけど、みんなで競争して、すごく楽しかった。
事あるごと茉莉花ちゃんが、
「小花、わたくしと勝負なさい! 勝負なのですわ!」
とか言って、つっかかってくるのが、楽しくて面白かった。
茉莉花ちゃん、運動神経は良いとは思うんだけど、夢中になり過ぎると周りが見えなくなるのか、よく何にもないところで転んだりしているんだよね。でも、それがすごく可愛いの。
そしてそのたびに、南京極家の分家だという南条厚くんが茉莉花ちゃんのところに飛んで行って、抱き起してくれるんだけど、そのたびに茉莉花ちゃんが真っ赤になって、ツンデレを発揮してくれるんだよねぇ。
他のA組の子たちも、みんな運動神経が良くって、びっくりした。
ボーイッシュで姉御タイプの真紀ちゃんや、南条厚くん、北見武くんは、なんとなく運動神経が良いんだろうなぁと思ってたけど、大人しそうな渚ちゃんも、すごく運動神経がいいのだ。
私も、それなりに運動神経は良い方だと思う。
子供の頃からちい兄の後ろを追いかけ回していたから、体を動かすのは好きなんだ。
体力測定は、最後にすごくおもしろい事をやらされた。
普通に、反復横跳びとか垂直跳びとか背筋力とか、そういうのをやった最後に、何故か水鉄砲を渡されて、黒い煙みたいなのが充満している部屋に案内されたの。
それで、水鉄砲でその煙みたいなのを撃つと綺麗に消えていくんだけど、あれ、どういう仕組みになっているんだろう? すごく楽しかった。またやりたいなぁ。
「班は、三つに分けるから。A班、B班、C班ね。授業の内容は、それぞれの先生や先輩が教えてくれるから、それに従ってくれ。じゃあ、班分けの発表をするぞー」
私は入学してから、渚ちゃん、真紀ちゃん、茉莉花ちゃん、厚くん、武くんと一緒に居る事が多かった。
だから、同じ班になれたらいいなぁ、と思う。
「じゃあ、A班……」
ちらり、と視線を彷徨わせた亘先生が、私の事を見つめ、にやりと笑う。
そして亘先生が発表した班分けに、私は小さくガッツポーズをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます