第2章:周央学園

第1話・嬉し恥ずかし入学式


 入学式には、おじいちゃんとおばあちゃん、そして叔父さんが来てくれた。

 叔母さんと、従弟の昌央はお留守番。昌央が来たがってかなりごねてたけど、帰ってきたら私の入学祝いのパーティーだよって教えたら、機嫌を直してくれた。


「可愛いなぁ、小花。制服、似合ってるなぁ~」


 周央学園の校門で、私とおじいちゃん、おばあちゃん、叔父さんの三人は、交代で写真を撮りまくった。

 これ、実は今日家を出る時にも、やった。叔母さんと昌央も含めて。


「もう、おじいちゃん、照れるよ~」


「でも、本当に可愛いわぁ。可愛いだけでなく、少しお姉さんっぽいわねぇ~」


「そうだねぇ、中学のセーラー服は可愛かったけど、ブレザーはお姉さんっぽいよね~。小花も、どんどん綺麗になるねぇ~」


「もう、叔父さんったら~」


 じじ馬鹿、ばば馬鹿、叔父馬鹿である。ちなみに叔母馬鹿と従弟馬鹿もいるし、私もそうなんだけど。

 私たち家族は仲がいいなぁと思うし、毎日一緒に居て楽しい。


 ちなみに中学は、紺に白のラインと赤いスカーフのセーラー服だったけど、周央学園高等部の制服は、グレーのブレザーに、下が紺とグレーのタータンチェックの組み合わせになっている。男子はスラックス、女子はプリーツスカートで、女子はネクタイがリボンになっていて、とても可愛い。

 ネクタイの色が、私は赤なんだけど、青や緑の人も居るから、もしかすると学年によって違うのかもしれなかった。


「おう、小花。入学おめでとう」


「おめでとう、小花」


「小花ちゃん、おめでとう。制服可愛いな!」


 思う存分写真を撮って、さぁ行こうか学校に入ろうかというところで、ちい兄と大樹さん、賢さんが来てくれた。

 ちい兄のネクタイは、緑色だった。やっぱり、学年によって、ネクタイの色が違うみたいだ。

 大樹さんと賢さんは大学生だからなのだろう、私服姿だった。


「ちい兄、三年生は、ネクタイの色が緑なの?」


 私がそう聞くと、ちい兄は頷いた。


「そうそう、今は、三年が緑、二年が青、そして一年生が赤だな」


「俺と賢が、青ネクタイだった」


 大樹さんがそう言って、優しく目を細めた。そしてその表情のまま、


「小花は可愛いから、赤いリボンタイが似合うな」


 なんて言うものだから、私は多分耳まで赤くなった。


「あの、ちい兄はともかく、大樹さんと賢さん、どうしてここに?」


「そりゃあ、俺と大ちゃんが家庭教師した可愛い生徒の小花ちゃんの入学式なんだぜ? 初々しくて可愛い制服姿を見に来たに決まってるじゃねぇか」


「そういう事だ、小花、おめでとう」


「ありがとうございます」


 ちい兄だけじゃなく、大樹さんと賢さんにも入学式前に会えるなんて嬉しい。

 けど、なんか目立っているような気もする。

 校門ではしゃいで家族と写真を撮りすぎたからかな?

 それとも、高等部の入学式なのに、私服姿の大樹さんと賢さんが居るから?


「大将、最後に一枚、みんなで写真撮りましょう! あ、すみません、写真お願いできますか?」


 賢さんはそう言うと、おじいちゃんからデジカメを受け取り、近くに居た若い男の人に渡した。それから、


「ほらほら、並ぼうぜ! な!」


 という賢さんの声でもう一度校門の前に並ぶと、七人で写真撮影をした。


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