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    桜の季節にだけ現れて、恋の願いを叶える神社。

    そんな儚く美しいイメージを覆すように、またBLファンタジーというカテゴリに収まり切らないヘビーなテーマを持った作品であるように読ませていただいて思いました。

    入れ替わり立ち代わり現れる多くの登場人物(故人)の持つ悲しい背景は様々であっても、そこには女性という自分ではどうしようもない性に対する諦観が一貫して見られ、それが他者の理不尽な言動や暴力に起因するというところに読んでいて強く痛ましさを覚えました。

    彼ら彼女らの言葉を生者に伝える"狂言回し"の役回りであるはずの三日月宝珠も生殖能力を失くしており、そして本作を通じて重要なキーパーソンである五木結斗は、生殖とは無縁の性によって命を落とした(私が読ませていただいた範囲ではこのような理解です)。

    まるで、若くても、年を重ねても、結婚しても、しなくても、妊娠しても、できなくても、女であっても、なくても、どのような選択肢を選んでも行き止まりの袋小路に陥るような、行き場のない絶望と悲しみの連鎖がこの作品には直截に表現されているように思います。

    救いとしては、死者が生者の汚く醜い感情を飲み干し、浄化して、あの世に旅立つというエピソードでしょうか。

    一筋縄ではいかない深い人間の心理の描写に踏み込んだ挑戦的な作品だと思いました。

    少々的外れな感想になってしまっておりましたら申し訳ございません。

    こちらの作品で自主企画にご参加いただき、ありがとうございました!

    作者からの返信

    読んでいただき、素敵な感想も書いていただきありがとうございました。

     
    参加させていただきありがとうございました。