第6話 幼馴染は下手
外に出るなり早速歩き始める美鳥。
……何か歩くペースがやたら早いんだが。
俺は少し小走りになりながらも、なんとか着いて行く。
5分くらい歩いたところで美鳥は突然立ち止まった。
「んー……」
そして、顎に手を当て考え込むような仕草をしている。
一体どうしたと言うのか。
俺も考えるようにしてみるが特に思い当たる節はない。
そのまま数分が経つと、いきなりこちらを振り向いてきた。
「ねぇ宗太郎。今日は何する?」
「知らんわ、考えて無かったんかい……」
「てへっ♪」
「可愛くないぞ」
「むぅ……」
こうなる事はわかっていたが、ここまで予想通りだと逆に清々しい気持ちになる。
「じゃあさ、ボウリングでもしようよ。最近行って無いし」
「そうだな」
2人でそんな話をしながら、近くのボーリング場へ向かう。
「おっ、混んでるね」
「休日だからな」
「だよねー」
そして受付へ行き、2人分の料金を支払う。
その際に店員さんが、
『カップルですか?』
とか聞いてきたので、全力で否定しておいた。
美鳥が文句をたれてきたが知るか。
「じゃ、始めよっか!」
レーンの前に立つと同時に、生き生きとした表情を見せる美鳥。
なんかもう小学生みたいだよね。
俺は苦笑いを浮かべながらも、ボールを一つ手に取った。
……なんか、こういうの久々かもなぁ……。
俺はボールを持ちながら、ふと思い出す。
昔はこうやってよく遊んでいたっけか……。
俺は懐かしさを感じながらも、投球位置についた。
「だーっ!負けたーっ!」
「ふっ、俺に勝とうだなんて十年早い」
「のっ、ノーカンっ!ノーカンっ!」
「何でだよ……」
俺は美鳥の謎の抗議を聞き流しながらスコアを見る。
2ゲーム投げて俺が303点で、美鳥が158点か……。
確かに俺の点数高い方かも知んないけど、美鳥が色々ミス多いんだよなぁ……。
ストライクどころかスペアすら取れないとは……。
「むーっ!次は絶対勝つ!」
「はいはいわかったわかった」
「なんかムカつくっ」
そう言って俺の胸板をポカポカ叩く美鳥。
地味に痛いんだが……。
てか、さっきから周りの視線が痛い。
男からの目線がやばい。
嫉妬の炎がメラメラ燃えているのが見える……。
俺がため息をついてる時、美鳥は……。
「クンカクンカクンカクンカ」
俺の服の匂いを嗅いでいた。
……こいつ、何してんだ?
俺は引き気味で美鳥に問うてみた。
「……お前何してんの?」
すると、何故かドヤ顔の変態。
「宗太郎の匂い嗅いでました!」
「モウヤダコワイ」
俺は思わずカタコトになってしまうほどドン引いていた。
いや、マジで怖いんですけどこの子。
「えへ……良い香り……」
そう言いながら頬を赤らめる変態。
……キモッ。
俺はそう思いながら距離を取る。
しかし、その距離を詰めてくる変態。
「ねぇ宗太郎……もっと良いことしない?」
「断る」
「なんでさー」
「なんでもだ」
「ケチ」
俺達はそんな会話をしながら帰路に着くのであった。
……ちなみに帰り道、ずっと俺の後ろを歩いていた。
横ならまだしも……。
ストーカーかって思ったわ。
「ただいまー……」
「おふぁえり」
「ふぁっ!?」
家に帰るとパンを口に頬張ったすごいラフな格好をした金髪巨乳美女が出迎えた。
待ってこの人だれ!?
「ねえ、宗太郎?この人だれ?」
後ろの美鳥が肩を掴んで自分の方を向かせてきた。
美鳥の顔は笑ってるけど、笑ってなかった。
モウヤダコワイタスケテ。
「あらあらまあまあ、玄関先で何してるの」
奥から紗月さんが出てきた。
良かった。これで助かる。
「ねえ、紗月さん。この人だれ?」
俺がそう聞くと、紗月さんは驚いたような表情をした。
え、何?
俺そんな変なこと言った?
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