⑵
その時、校内放送が流れた。登校している生徒は教室に待機する様にとの事だ。
そして三年二組の生徒は音楽室へ来てくれと言って放送は唐突に切れた。
「えっ、僕達のクラスから飛び降りたのか!」
柿崎と顔を見合わせて僕が叫んだ。怖気が背中を伝ってくる。
何故一年が、三年の教室から飛び降りたのか? 二組の生徒と何かトラブルがあったのか?
その中には僕と柿崎も含まれて居るという事実に嫌な予感がゾワゾワと這い上がって来た。
「
早速嫌な予感が的中したみたいで、腰に手を当てこちらを睨み付けている明日香が居た。
「明日香待ってたら遅刻スレスレじゃないか。毎回心臓に悪いんだよ」
柿崎が傍に居るからなのか、それ以上追求して来なくて助かった。
「二組は音楽室に行かないと……。明日香またな」
これ幸いとばかりに柿崎を引っ張って音楽室へと向かう。
「
『見た目だけはな』心の中で返事をする。
家は隣で明日香とは生まれた時からの付き合いだ。小さい頃から虐められてきたせいか女として見られないのが後遺症と言えるだろうか。
「柿崎、そろそろ行かないと皆揃ってるんじゃないか?」
「あ、ああ行こうか」
音楽室に着くと、やけに騒がしい。
警官と一緒に立っているのはスーツをビシッと着た短髪の見上げる様な大男と、それと対照的な真っ黒な髪を背中まで伸ばし黒ずくめの服装でグラサンを掛けたヒョロりとした男。
警察関係者だろうか? いや、それにしてもグラサン男、怪し過ぎだろう。
思わず心の中でツッコんで無遠慮に見ていた僕にグラサン男がジッと見返して来た。
いや、いやいや、何でコッチを見る? まさか、声に出して言ってしまったのか? それとも心の中の声が聴こえるとか?
グラサン男は大男に何かを言ったあと真っ直ぐコッチに向かって歩いて来る。
ああ、なんか文句でも言われるのだろうか。めんどくさいなぁ。と思っていると意外な事に隣の柿崎に話し掛けた。
「君、ちょっと話を聞いて良いかい? そちらのお友達も一緒に」
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