(7)


「面接お疲れさま、どうだった?」


 翌日、伊原に面接の手応えを確認すると、彼は珍しく険しい顔をした。


「多分駄目だ」

「え、なんで?」

「暗いって言われたよ。精一杯明るくしてるつもりなのに」


 軽く溜息を吐く伊原を見て、なんだか居た堪れない気持ちになった。



「愛想が足りてないだけだよ! 試しに、ニッて笑ってみて?」

「……こうか?」

「うわっ……」

「うわっはやめろよ」


 ぎこちない笑顔が可笑しくて笑う私に、伊原は少し不貞腐れた顔をした。なんだかそれが、かわいいと思った。



「うーん、堅苦しい喋り方がダメなのかな……」

「癖だからしょうがないだろ」

「いっそ、伊原でごわす! 一生懸命働くから雇って欲しいでごわす! みたいな口調でいってみなよ」


 ふざけた声を出して茶化す私に「お前、アホか!」と伊原が笑った。友達になってから初めて見る、無邪気な笑顔だった。


 胸が締め付けられる感覚がした。それが罪悪感か、別の感情かはわからなかった。

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