夏の悪魔が消える日まで。

リアス

夏の悪魔が消えるまで

「おい!天乃6番テーブル接客頼むわ!」

「は〜い接客行きます〜!」


今俺は家の近所の焼肉店でバイトをしている、2年前に半年間行方不明になっただけの

今は”普通の’’高校生だ。


俺は接客を終えオーダーを伝えるとキッチンに居る店長の肉の解体を見ていた。

同じ大きさに手際よく均等に切り分けられ

皿に美しく盛り付けられていく。


「店長、俺っていつ飯作るのってやらせて

貰えるんですか?」

「あほ!飯の仕事したいやつはこのゴールデンタイムにそんなのんびりしねぇんだよ!さっさと他の奴ら手伝ってこい!」

「はーい、3番テーブル五名様来店でーす!」

「「いらっしゃいませー!」」


何かする事はないかと厨房を出た。

しかし俺の頭には直前に見た解体する時に肉から溢れ出した血に取り憑かれていた。


ゴールデンタイムも過ぎ、バイトが終わる10時ピッタリに店を出ると俺は家に帰らず近くの裏山の空き地に来ていた。


「おい、おっせーよ!もうやってんぞ!」

「わりぃw仕事でちょっとバラし方の勉強してたんでね!」

「まじかよw天乃はやっぱえげつねぇな。

同級生を椅子に結びつけて水以外やらずに裸で放置とかさ。しかも5人!」


俺達はクラスメイトの一人を見ると汚物は下から垂れ流しで身体は落書きと殴りあと、火傷の跡が沢山あった。


「なぁ、こいつ名前なんだっけ?」


俺はその中の1人の髪を掴んで溶けた蝋を躊躇なく胸に押し当てた。


「んっんん!んんんんんん!!!」

じゅうぅぅ!という鉄板で肉を焼く時と同じ良い音と共にガムテープ越しからもわかる悲鳴が響いた。


「さぁ?そんなどーでもいいやつの事なんか忘れちまったわw」

そういうみんなも他の女を殴ったり、犯したりしている。


「しっかし、こういうの嫌いとか言ってた

天乃がボスになるとはなぁ。さすが夏の

悪魔さんですねぇ!」

「そのあだ名で呼ぶなって!あの時に何があったかは忘れたからさ。まぁ今からそれの真相が分かるんだからな」


俺が夏の悪魔と呼ばれてる理由は単純に家出した後に記憶喪失になった状態で帰ってきた俺がクラスメイトを脅し、拷問をしているからだ。

教師は軽く脅すだけですぐに従順になった。

あんなのは簡単に脅す材料が手に入るから簡単だ。


俺は縛り付けている他の4人には目もくれず

奥に座る一人だけ制服を着せられたままで身体に縄と目隠ししかされていない女の元に歩み寄った。


「おい、そろそろ教えてくれよぉw俺が記憶喪失の間どこで何をしてたか教えてくんね?

頼むよ〜と言うか本気でさっさと言わねぇとこいつら殺すけど?」


俺が脅した女。有希につけていた目隠しを引きちぎり、口のガムテープを引き剥がして俺は近くの名も覚えていない女の首に刃を近づけて少し切る。


そいつは涙を流して必死に悲鳴をあげる。


「安心してねぇき!そんな深くないから大丈夫だよ!」

そう叫んだ有希の腹を蹴り飛ばす。

「は〜ぁ。さっさと言わねぇとこいつら皆殺しだぞ?さっさと言え、ほらサッササッサ!

俺に何した?ほら、あの日にさ。」

「やめて!やめてよぉ!有希!居るんでしょ!助けてよぉ!ねぇ!有希ぃ!!」


女の悲痛な声に有希は必死に声をかけている事に俺は笑いを抑えきれず、みんなも涙を流して笑っている。


「あー!おもろ!有希ちゃんざんねぇーん!あの女は鼓膜を破ってるからお前の声なんざ聞こえねぇんだよぉ!」

「…そんな、そんな事して許されると思ってんの!?そんなの警察に捕まったらあなたおしまいなのよ!?」

「…俺は今捕まってない。お前らは俺らにされるがまま。警察が来たらお前らを人質にする。それで完璧!俺ら友達ぃ!イェイ!」

「…でもさぁ、天乃。お前の記憶喪失の時の記憶を無理に聞いて何になんの?」

「なんだろうな、でも何かが引っかかるんだよ。まぁ、それも吐いて貰えば全て分かることだしな!」


俺は有希の服をカッターで裂き、上から腹を踏みつける。

うっ、と声を出したので今度は足で股を蹴り飛ばす。

苦しそうな顔に堪らず笑みが止まらない。

すると有希の左胸の上側に焼き印があることに気づいた。


「...おい、その焼き印どこで入れた奴だ。」


俺の問いかけに返答は帰ってこない。


「...なんでお前が俺とおんなじ焼き印があるんだよ。」


自分の左胸を触って少しボコボコになっている所を撫でる。

まだ有希からの返答は無い。ただ俯くだけで何も言ってこない。


「おい、こいつ抑えとけ。」


その時有希は何かを感じ取ったのか急に暴れ出したが3人がかりで抑え込んだため逃げる事は出来なかった。

俺は有希の目隠しを近く女の首に巻き付け、俺は有希から離れて目の前でねぇきと呼ばれた女の腹を刺す。

うぐっ!と言う短い叫び声が聞こえる。

肝臓を刺したため血は黒く大量に溢れ出してくる。


「やめて!言うから!言うから、もうやめてよぉ!」


やっと言うことを決めた有希に俺は笑って

微笑みかける。


「そうだなぁ。今ちょうど全員死んだ所だしなぁ。やめねぇとなぁ。ほらよ。お前ら、見せたれ」

「え?」


そう言って俺らは縄で縛って生きたいる様に見せていた”昨日殺した死体”の3人の首を有希に投げつける。

音声を録音し、タイミングよくやる事でもう死んでいるのにまだ生きていると思わせる。


「きゃぁぁぁぁぁあ!!!」


有希はそれが死んでいると分かった時の顔は

怒りと、恐怖。それが入り混じった様な表情に俺は顔が歪むほどににやけていた。


そして本当に生きていた一人の女の首を目の前でノゴキリを使って切り落とし、そこから零れ落ちる血を無理やり口を開けさせて飲ませてやった。


嫌なのに抵抗できない時の絶望したこの顔、

俺はこいつのその顔に恋をする様な深い愉悦感に浸っていた。


「美味かったか?みんな死んだしこれでこころおぎなく話せるだろ?お前らはこれ以上やったらやばいし俺個人の問題でもあるからもう帰って良いぞ。」


「ちぇーもうかよ!まぁ、あとはお楽しみしときなよー?」


そう言って俺はあいつらをしっしと追い払うとついに有希は口を開いた。


「...私達は遠い海沿いの町をバイクで転々としながら旅をしていたの。」

「ちゃんと全部話せ。なんで俺がお前と行かなきゃ行けねぇんだよ。そういうの俺気になるタイプなんだよ。」


「それは... 」


2年前、行方不明前日


私達はクラスの中でも一軍と呼ばれる様な奴らだったからいじめのような事を嫌々やっていた頃だったでしょう?


「ねぇ、天乃!やばいよ!」


そう言ってあなたの家に逃げたのが始まりだった。


「どうした?そんなに急いで。」

「いじめてた女が警察に通報しやがってもうちょっとでこのうちにも来るよ!」


しかもそいつは主犯格の中で私たちを警察に伝えたのよ。

あなたはその時一瞬でさっと血の気が引いたように見えたわ。


「おい、バイクで逃げんぞ!」


あなたはお金やスマホ、充電器、ご飯。生きるのに必要最低限の物を持って私達は2人で逃げ出した...


「ほーん。確かにいじめやってたけどそんな事があったんだなぁ。それでどうだったんだ?」

「それは...」


「きゃー気持ちいい!逃亡劇だけどどこに行くのさ!」

「へっ、東京だったらバレバレだから北海道でも行くか!」


あなたは北海道に親友がいるから大丈夫って

言ったからそのまま向かおうとしてたけど

そんなのがうまく行くはずなくて、

諦めて田舎のアパートを借りて生活することになったんだよ。

でもこの頃の生活は楽しかった。

それにここで私達は付き合うことになったんだよ...

その頃は周りにも恋愛じゃなくて兄弟だって嘘ついてた。

その頃はあなたを本当に愛していたのに。


「まじ!?いやー俺のセンス良いねぇ。

こんな良い顔する奴手に入れて。」

俺は顎を掴みこちらに顔を向けさせる。


「続き言うよ。」


でもそこで俺達は馴染めずにアパートの近くに住む漁師がうちにきて画鋲撒いたりしてきたんだよ。

だから、あなたは”人を殺した”。

何度も何度もそれが原型を留めないただの肉塊になるまで

私達のこの紋もそれを自分たち以外で公言しない契約のためにやったやつ。


そして、あなたはおかしくなった。


「それで結論はどう言うことなんだよ?何を言いたいか分からんのだが?」


「結論は、あなたは私と逃亡生活をしながら付き合っていて、それに疲れたあなたは幻覚を見るようになった。」


何言ってんだこの女?幻覚?死体見て頭狂ったのか?急な有希の発言に俺の頭の中には?がぐるぐると回り続ける。

しかし、どこかパズルのピースがハマったような感じがした。


「ほら常識的に考えて?よく見て?さっきの椅子は、血は、どこにあるの?普通そんな叫び声が聞こえる所でそんなことすると思う?

何人も消えて警察が何もしないと思う?」


「おい、何言ってんだよ。」

「あなたは確かに人を殺した。

ただ幻覚で漁師だと勘違いして”私を殺したのだから”。そこで君は壊れたんだよ。」


「やめろ、言うな。」


それ以上踏み込んではいけない。

頭がくらくらし始めてそう叫んで地面を

引っ掻くと土じゃ無い。バリバリと畳を引っ掻いた時の感触だ。嫌な予感はしていた。


「こんな場所あった?君は”ここにはいないのに”」


「やめろ!やめろ!やめろぉぉ!」


その時、夏の悪魔が去ってしまった。

「あっ...」

ミーンミンミンとミンミンゼミの鳴き声が聞こえてくる。

そこは腐り始めた死体がある小さなボロボロのアパートの一室だった。

それにはうじやハエが湧き、髪の長さからこれは有希の死体だと理解した。

しかしそれは幻覚の彼女の言うとうり原型は留めていなかった。

近くには印の模様と同じ印鑑も転がっていた。


「は、はは。仲間もバイトも、全部夢だったんだ。いや、幻覚という夏の悪魔だったのか。」

 

彼は高らかに笑った。必死に取り憑かれるように、それにもう一度縋るために。

しかし、夏の悪魔は消えた、去ってしまったのだ。

細くやつれた身体からは信じられない大きな笑い声を出しながら...


その後アパートでは捜索中だった2人の高校生が腐乱死体として見つかったそう。


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