第31話 深きものの本拠地を破壊しますわ!

 最奥部にある、深きものの本拠地へ乗り込みます!


 いますわいますわ。深きものは霊樹の地下に、宮殿を作っていました。こんなところに地下帝国を築こうとは。


 開幕早々、おかっぱのデジレが地面に手を置きました。


「さっきはよくもやってくれたな、てめえら! お返しだ! 【マシュマロマン】!」


 デジレが、白い人型のスライムを召喚しました。ふくよかなスライムはノッシノッシと巨体を揺らし、深きものたちに殴りかかります。


 ですが、ダメージが通りません。その代わり、腕が敵の身体を包み込みます。そのまま、相手はどろどろに溶かされました。


 スライムにやられて、他の深きものたちが逃げ出します。


「逃がすか、【ボルケーノ】!」


 火柱が上がり、こんがり焼けたマシュマロマンが敵陣にダイブしました。


 深きものたちは、ドロドロに熱く焼けたマシュマロ型スライムをまともに浴びます。


「霊樹の浄化もしないといけないから、やりすぎるくらいがちょうどいいんだ。ルカン、やっちまえ!」

「そうさせていただきます。ステイサメさん、【シャークネード】ですわ!」


 例のごとく、わたくしはステイサメさんに魔力を送り込みます。


 ウインドミル・ダンスを展開し、ステイサメさんが両足からサメの幻影を呼び出しました。サメはステイサメさんの起こす旋風に乗って、竜巻となります。


 サメ竜巻は、深きものたちを巻き込んで食らいつきました。深きものたちはなすすべなく、餌となっていきます。


「いいねいいね!」


 デジレも二体目のマシュマロマンを呼び出し、暴れさせました。


「とおーッ!」


 エビちゃんさんは、宮殿の壁を次々とパンチで壊していきます。いい感じですわ!


 邪魔する敵は殴り飛ばし、ちゃんさんもノリノリで宮殿を破壊しました。


「通路があるぞ!」

「乗り込め!」


 デジレとエビちゃんさんに付いていき、わたくしたちは宮殿内部へ突撃しました。


 深きものの攻撃も、激しくなっていきます。


 デジレが、玄室に入りました。空を飛ぶピラニアに襲われながらも、奥へと突っ込んでいきます。どうやらここは、武器庫のようですわね。


「これこれ、これだよ! アタイの愛銃、【プレデター】!」


 抱きしめるかのように、デジレがライフル銃を手に入れました。


「こいつを撃ちたかったんだよ。くらえ!」


 ズドドドドと、ライフルを深きものたちにぶっ放します。


 敵の硬い装甲も、まるで意味がありません。あまりの連続攻撃に、深きものたちはミンチよりひどい状態に。


 デジレが、マガジンを交換します。自分で火薬と弾丸を精製できるため、ライフルの弾数には困りません。空のマガジンをアイテムボックスに収めておけば、勝手に弾が補充されていくのです。


「そらそら!」


 ライフルの下にあるランチャーから、デジレは爆弾を放ちます。


 魔法より威力のある射撃に酔いしれながら、デジレは宮殿を駆け抜けました。


「お前たちは行け! アタイは深きものを根絶やしにするのが目的だ。ボスは任せたぜ!」

「ならば私は、デジレ殿のガードに回ろう」


 ノールックで深きものにパンチを食らわせながら、エビちゃんさんがデジレの背中を守ります。


 深きものが一匹でもいると、すぐに増殖してしまうそうで。


「わかりました。参りましょう」


 ステイサメさんとともに、わたくしはボスの間に向かいました。


 いかにもそれっぽい扉を、蹴破ります。


 口から触手の生えたイカ頭の神官が、宮殿の王座に座っていました。


「てめえらか! このダゴン様の宮殿をぶっ壊しまくっているのは!?」

「あなたこそ、よくも神聖な霊樹を傷つけましたわね!」


 王を守る護衛を、シャークネードで蹴散らします。


 我々の能力を見て、ダゴンとやらが後ずさりました。


「【サメ使い】だと!? ちっ、ラトマ様の言う通りだったぜ!」

「ラトマ!?」


 わたくしは、攻撃の手を緩めます。


 ダゴンが、我が妹の名を口にしましたわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る