改造サレタ☓☓☓ Commander in God

 過剰…もとい、片道切符防衛軍の総司令は改造された後、別の部屋に隔離された。


 防衛軍の長であり中心となる人物。つまりは人類を防衛する術を知り尽くした主。AIは効率よく人類を駆除するために、その頭脳を活用することにした。


 そうして、後に異世界防衛軍がゴッドと呼称する宇宙人が誕生した。


 AIはゴッドの心臓にテレポート装置が埋め込まれていることを認識していた。だが、くらいにしか使用できない粗悪品だったため、脅威ではないと判断して放置。


 ゴッドの記憶はAIが自ら削除。一部の記憶が消せなかったが、戦闘には関係ないためこれも放置。


 その後、AIは平行世界の地球を一つ救った。


 そして、異世界の地球「ネイアース」の人類駆除作戦を始めた。


 一つ前に救った地球の人類が、異世界「ネイアース」にやってきたが、AIはこの地球で駆除すればよいと判断。しかし、AIの演算と実際の戦闘に誤差が生じ始める。


 AIは人類の結束力を、科学と魔術の力を侮っていたのだ。宇宙船から最大戦力が投下されるも、異世界防衛軍が全て殲滅。


 そこで、ついにAIはゴッドを投下した。


 普通の宇宙人とは全く異なるゴッドは、大きさは普通の宇宙人の三倍以上、耐久力、再生力も遥かに上。四肢を破壊してもすぐに再生するような馬鹿げた奴。


 ゴッドならどんな人類も駆除できる。まだ調整中だが、一度の戦闘には耐えられる。AIはそう判断した。


 だが、これがいけなかった。


 ゴッドは殺すために女騎士を掴み、苦しそうにしている女騎士を見た瞬間、人間だった頃の記憶が蘇ったのだ。


「おい宇宙人! 私に情けでもかけるつもりか?」


 …AIが放置した記憶がきっかけで。


「くっ、殺したければ…殺せっ…!」


 何を隠そうこのゴッド、「くっころ女騎士」が好きなのである。頬を染めた捕虜の女騎士に睨まれながら、「くっ、殺せ!」と言われたい人生だった。言われたら天にも昇る心地だろう。それだけで未練などなくこの世を去れる。言われるまでは死んでも死にきれない。そんな性癖を持ったゴッド…もとい総司令だった。


「なんだ宇宙人め。私に情けでもかけるつもりか?」


 いくらAIの技術が凄かろうと、科学の力が凄かろうと人間の欲には勝てなかったらしい。


 ゴッドは宇宙船に突入していた異世界防衛軍の隊員、フレイム1の安全を確保しながらAIが管理されている部屋まで誘導。人類の未来を、フレイム1に託したのだ。


「んあうみえるふ ぉりきあはましk」


 AIを破壊するためにフレイム1が起こした爆発の中、ゴッドはおもむろに自分の胸を引き裂く。


 未来ある人間に希望を託すために命を投げ捨てた。しかできないテレポート装置をフレイム1に投げ渡した。


 改造された総司令Commander in Godは、最期にフレイム1の命を救った。

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