5
『ううん。幾つか話してみて、結局皆、お父さんじゃ無いことが分かった。私の話を聞いて、「そしたら僕が、君のパパになってあげるよ」とか、「一生面倒みてあげるから、ここより良い所で、おじさんと気持ちいい事しよう」とか、そんな事、言ってくる人もいたな。ほとんどは、本気で心配してくれて、良い人達だったけど』
しとしとしとしと
しゃっ しゃっ しゃっ
しとしとしとしと
しゃっ しゃっ しゃっ
『私にはね、もう、此処しかないの。お父さんと、私を繋ぐものは、此処しか。だから、ずっと、待ち続ける。お父さんが、帰ってくるまで、お父さんが望んだ、可愛い娘の姿で』
気付けば外には、夜の帳が下りていた。
しとしとと、屋根に打ち付ける雨音は、何だか物悲しくて、
私は、冷めた珈琲を啜りながら、そんな想いを、一人、心の奥へと流し込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます