クールなメイドさんとの甘い一日

ヴぃーたー

第1話

クールなメイドさんとの一日


僕の名前は中原連英、訳あって家族と離れ暮らしている。


だけど一人暮らしではない。


僕はメイドの永風楓さんと一緒に住んでいる。


 


「おはようございます」


 


そう言ってリビングに入って来る女の子が1人。


楓さんだ。


黒髪ロングでスタイルも良く、いつも僕の事を気遣ってくれている。


僕には勿体ないぐらい美人な女性だ。


 


「おはよう」


 


そう言いながら僕は洗面所に行き顔を洗いに行く。


この家に来たばかりだからまだ慣れていない。


それでもなんとか生活出来ているのは楓さんのおかげだろう。


感謝している。


 


「ご主人様、洗顔のお手伝いに参りました」


 


「ありがとう…」


 


「ご主人様の身の回りの事は全て私にお任せくださいませ」


 


僕はお礼を言った後、目を瞑り顔を洗ってもらう。


そしてタオルで拭いてもらうと今度は髪を乾かしてくれる。


これが毎朝の日課になっている。


正直、恥ずかしさもあるけど丁寧で気持ち良くいつも任せてしまっている。


楓さんと密着しそうな近い距離でいい匂いや胸なども体に当たり下世話な思いを抱いてしまう。


今日も学校があるから準備しないといけないんだけど・・・


 


「ご主人様、朝食の準備が出来ております。どうぞこちらへ」


 


そう言われてテーブルまで案内される。


椅子を引いてくれて座ると目の前にご飯が置かれていく。


「いただきます」手を合わせて挨拶をする。


味噌汁を一口飲むと体が温まる感じがする。


それに卵焼きも美味しい。


料理上手なんだよなぁ・・・。


そんな事を考えながら食べ終わる頃には楓さんは既に片付けに入っていた。


 


「ごちそうさまでした。おいしかったよ」


 


「お粗末様です。では食器を下げさせて頂きます」


 


「うん、お願いします」


 


そう言うと楓さんは食器を持って台所へと向かった。


 


その間に制服へと着替える。


楓さんの家事スキルは本当に凄いと思う。


なんというか身の回りの事は全てやってくれるというか・・・。


しかも味付けとか完璧だし文句なし! 何より可愛い!! っといけない。そろそろ行かないと遅刻してしまう。


鞄を持つと玄関へ向かう。


 


「今日はお一人でお着替えなされたのですね」


 


「着替えは流石に恥ずかしいから…」


 


「そんな事はおきになさらずに、私はご主人様の物なのですから


 お帰りは何時頃になられますか?もし宜しければお迎えりあがりますが」


 


「えーっと、多分5時頃かな?夕飯までには帰って来れると思います


 お迎えは大丈夫ですよ」


 


「かしこまりました。ではそのように致しますね」


 


「よろしくお願いします」


 


「はい、行ってらっしゃいませ」


 


笑顔で見送ってくれる楓さんを見て心が暖かくなるのを感じる。


楓さんは言葉使いは丁寧だけどいつも笑顔で可愛いんだよな・・・。


朝から良いものを見た気がする。


頑張れそうだ。


 


 


学校に着いても楓さんの事ばかり考えていると、全ての授業が終わっていた。


最近よくあるパターンだ。


それだけ楓さんとの時間を大切にしたいと思っているんだろうな・・・。


今は放課後だ。


掃除当番を終えて教室を出る。すると校門の所に誰かがいるのが見える。あれは……楓さん!? まさか待っていてくれたのか? でもどうしてここに……。


僕は急いで階段を降りて昇降口へと向かう。


靴を履いていると楓さんの方から声をかけてきた。


 


「ご主人様、お待ちしておりました。一緒に帰りましょう」


 


「わざわざ待っていたんですか?」


 


「はい、ご主人様のお側に居られる事が私の喜びでございますので」


 


「あ、ありがとう……」


 


やっぱり楓さんは優しいなぁ。こんな風に思ってくれるなんて嬉しい限りだよ。


僕達は学校を出て帰路につく。


僕の隣には楓さんが歩いている。


とても嬉しそうな表情をしているように見える。


「ご主人様、本日は如何でしたか?」


 


「ん~、特に何もなかったよ。いつも通りだったし……」


 


「左様ですか。何かあればいつでも仰って下さいませ、ご主人様の為ならこの身を捧げても構いません」


 


「いや、そこまでしなくても……」


 


「ご主人様のお役に立てることがメイドとして最高の幸せでございます。


それにご迷惑をおかけしてばかりですし、これぐらい当然で御座います」


 


楓さんはそう言って微笑んでくる。


綺麗で可愛くてついドキッとしてしまう。


 


そんな会話をしながら道を歩いていく。


家に着くといつものように楓さんが扉を開けて僕を誘導してくれる。


 


「ご主人様、おかえりなさいませ」


 


「ただいま。一緒に帰ったのに挨拶するのは気恥ずかしいね」


 


「いえ、挨拶は大事ですから。お疲れでしょうから先にお風呂へどうぞ」


 


「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて」そう言い残し浴室へと向かう。


楓さんと一緒に住んでから毎日入っているけど未だに緊張する。


楓さんは僕の事を主人と慕ってくれているけど、僕は楓さんの事を女性として見ている。


だから少しだけ意識してしまう。


 


「ご主人様、お背中を流しに参りました」


 


「うわっ!か、楓さん!入って来ちゃダメだって!」


 


「申し訳ありません、ご主人様。ご主人様の事を思うとどうしても我慢出来なくて・・・」


 


楓さんは悲しそうな顔でそう言ってくる。


そんな顔をされたら断れないじゃないか……


 


「わ、わかったよ。いいから早く洗っちゃおう」


 


「はい!では失礼します」


 


楓さんはそう言うと石鹸を手に取り泡立て始める。


そしてそのまま手で優しく背中を擦ってくれる。


それが気持ち良くてついウトウトしてしまう。


 


「か、楓さん。もう洗い終わったんじゃないの?」


 


「まだです。ちゃんと隅々までお流し致します」


 


「えぇ!それは流石に恥ずかしいよ……」


 


「ご主人様の為なのですからお気になさらずに。さぁ次は前ですよ」


 


「前は自分でやるから大丈夫!!」


 


「遠慮なさらずに私に任せてください。ではお身体をこちらに向けてください」


 


楓さんは僕の後ろに立ち、両手で僕の胸元に手を添えると、ゆっくりと上下させ始めた。


 


「ひゃぅ、か、楓さん、それやばいかも・・・」


 


「どうかされましたか?もう少し強めにいたしますね」


 


今度は先程よりも強く揉みほぐしてくる。


その手つきはまるでマッサージ師のような感じだ


楓さんの手が気持ちよくて表情に出てしまう。


 


「ご主人様に喜んで頂けて何よりです。ではこのまま下もいきますね」


 


「え?ちょ、ちょっと待って!そこは本当にやめて!」


 


しかし楓さんの手の動きは止まらない。


むしろ加速しているように感じる。


 


「ご主人様、これは大切な事なのです。どうか抵抗しないで下さい」


 


楓さんはそう言って僕の下半身に手を伸ばしてくる。


僕は必死に抵抗するが、楓さんの力があまりにも強い為振り払うことが出来ない。


 


「か、楓さん、だ、だめだよ、そっちは・・・!」


 


僕はたまらず浴室から逃げ出した。


 


「ご、ごめんなさい、ご主人様。調子に乗りすぎてしまいました……嫌わないでください……」


 


そう言って涙を流しながら謝ってくる楓さんを見て、心が痛くなる。


こんな風に泣かせてしまうなんて……。


でもあの状況はかなりまずかった。


もしあのまま続けていたら確実に一線を越えていただろう。


それだけは絶対に避けたかった。


 


「楓さん、こっちこそごめんね。別に怒ってるわけじゃないんだ」


 


僕は楓さんの頭を撫でてあげる。


すると涙は止まり、笑顔を見せてくれた。


 


「良かった、ご主人様が許してくれて。ありがとうございます」


 


「うん、僕の方こそごめんね。じゃあそろそろご飯食べようか」


 


「はい!」


 


今日も楓さんと一緒に食べる。


いつもは向かい合って座っているけど、楓さんは隣に座っている。


 


「ご主人様、本日は何が宜しいでしょうか?」


 


楓さんはそう聞いてくる。


実は昨日から決めてあった。今日の晩御飯はオムライスにしようと。


理由は簡単で、楓さんが作ってくれる料理の中で一番好きだからだ。


 


「じゃあ、オムライスお願い出来るかな?」


 


「かしこまりました。すぐに用意いたしますので少々お待ちくださいませ」


 


そう言ってキッチンへ向かう。


慣れた手付きで卵を割り、フライパンの上で溶いていく。


そしてチキンライスを作ると、ふわっとした優しい匂いが立ち込めてきた。


楓さんはケチャップを取り出し、器用にハートマークを描いていく。


 


「お待たせしました、ご主人様」


 


そう言いながら楓さんは僕の目の前に皿を置いてくれる。


 


「さぁどうぞ召し上がってくださいませ」


 


楓さんはそう言うと自分の席へと戻っていく。


「いただきます」そう言ってスプーンで一口分すくい口に運ぶ。


 


「美味しいよ、楓さん。やっぱり楓さんの作る料理が一番だな」


 


素直に感想を言うと、嬉しそうな顔で微笑んでくれた。


 


「ご主人様にそう仰っていただけて嬉しいです。まだまだ練習が必要ですね」


「そんなことないよ。楓さんは十分凄いと思う。だってこんなに美味しい料理を一人で作れるんだから」


 


「ご主人様、お褒めの言葉ありがとうございます。ご主人様に喜んで頂けるのが私の至上の喜びでございます」


 


「楓さん……」


 


「ご主人様……」


 


そして僕達は見つめ合う。


お互いの瞳には相手しか映っていないようだ。


次第に距離が縮まってくる。


「失礼します」楓さんはそう言うと僕の頬に手を添える。僕は目を閉じ楓さんを待つ。


柔らかい感触が唇に伝わる。


それはほんの数秒だったかもしれない。


しかし僕達にとっては永遠にも近い時間のように感じられた。


 


「楓さん……」


 


「ご主人様……お慕い申しております」


 


「僕もだよ、楓さん」


 


こうして僕達の甘い時間は過ぎていった。

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