おっさんになると自叙伝を書きたくなるのが分かってきた

コウスケ

第1話 コウスケ、仕事やめたんだって

「コウスケくん、この仕事、取れへんかったわ。ごめんね。半年後には絶対取り返すから、待ってて!」


 年度末にかかってきた、社長の電話で強制終了。8年間勤めた仕事がTHE END。この4月から、晴れて無職です。

 半年後に仕事取れたら戻ってきてほしいとは言われているものの、どうしようか思案中の中年男、コウスケです。


 ハローワークに通いながら、失業手当をもらいつつ、この先の身の振り方を考えているのですけど。元同僚の先輩は何かと気遣ってメッセージをくれる。そうすると、半年待つのがいいのか、別の所に転職活動するのか、少し悩みます。戻っても、また数年後に同じことが繰り返されるのでは?


 こんな時に考えてしまうのが、“もしもエホバの証人として育てられていなかったら”という構文。あんまり後悔するのは好きじゃないんですけどね。なんならバプテスマ受けたのも後悔はしていない。高校3年生の春でした。あの時の自分なりに考えて、考えての決意だったから尊重してあげたい。でも、正直言うと、大学が行きたかった。いわゆる“普通に”就職したかった。というのも、進路とは、正規開拓者※になる!というものしか知らなかった。世間知らずだったなぁ、自分。つくづく思います。高校卒業の時に、就職活動しなきゃいけないってことすら知らなかったんだもん。ま、母親が信者、父親が反対しながら若くして亡くなったので、世間のルールを勉強する時間が無かったんですよね。


 他の人から見ると変な宗教、と言われそうですね。


 高校卒業後は、世間より少し早めにパソコンを触るようになったので、IT系の技術もある程度身につけて、ついでに国家資格系もチャレンジしたり、簿記2級も取ったりして、有用な人材っぽいことはしてきたんだけど、ここにきて落ち込んでみたり。いわゆるその辺の人よりかは能力高いと思っているんだけども、お金を稼ぐ能力っていうものは持ってないみたい。自営業とか、向いてないと思うんだよなぁ。


 ということで、元エホバの証人で、ゲイで、無職。抑圧されて育ったからか、やりたいことがない。趣味も作ろうとしているけど、なかなか見つからない。と言っても、地域活動や表現活動は色々していて、器用な人、多忙な人だと思われているコウスケの人生を振り返っていきたいと思います。お付き合い、よろしくお願いします。




※正規開拓者…1年に1,000時間(月に90時間)布教活動に人生を費やす協会から任命された人。当時のお話なので現在は少し違うようです。


 

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