第2話 現実



「余命は5年です」



 突然の宣告だった。正直、最期おわりを告げられた時は、受け止めきれなかった。と言うか、受け止めたくなかった。18歳になり、高校卒業して人生を再スタートできると思っていたこの時に。まるで神様に「お前の人生は再スタートしたところで無駄だ」と告げられているかのように。

 ふと思う時がある。こういう時寄り添ってくれる人がいればいいのにな、と。自分の最期を告げられたら普通の人は家族なり、友達なりが膝から崩れ落ちて泣き喚くだろう。そんな人は私にはいない。



 なぜかって?



私の両親は"悪魔"だから。




 明日のご飯は食べられないかもしれない、お店で廃棄するご飯で生活している、金銭的に余裕のない家庭でも愛されていたり、もちろん毎日ご飯食べれて、学校も通えて普通の生活ができる家庭などで過ごしてきた人間は、体を痛めてまで自分を産んでくれたんだから感謝しなよ、と思うだろう。

 でも、どうだろう。そもそも産んでくれた張本人から


「お前は望んでできた子ではない」


と言われたら。

同じことが言えるだろうか?

 共感を求めているわけではないが、テレビや本等で、すべてを知ってるわけではないのに自分の世界観だけで自分が正しい、自分の価値観を押し付けるのをよく見る。もちろん常識に関したものを抜きで。最初に私が言っていた何を思うのかは自由といったのに矛盾してるじゃないか。いや、私が言いたいのは最後に、あくまでも自論、一部の人に限る、と付けてほしいのだ。こういったひねくれた考えの人もいるからね。あぁ、少し話がそれてしまった。話を戻そう。


 私は、物心を覚えた時から父、母に望んでできた子ではないと言われ続けていた。何故堕さなかったのかは聞いたことはなかった。確かなことは、父はギャンブル漬けの毎日、そのせいで借金まみれ、犯罪も犯したり、母はそんな父に絶望し、新しい男を作って唯一の娘である私を捨て去っていった。こんな両親なので、親族らはみな絶縁状態だ。そのため母が去って行った後、"悪魔"の父に育てられることになった。

 父と、私の生活は決していいものではなかった。












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