第7話「これが……私?」
――カラン・サイド――
鏡に映った自分を見て私は驚いていた。
「これが……私?」
茶色の髪がツヤツヤと輝き天使の輪っかができている。
頬にあったそばかすはどこかに行ってしまい、陶磁器のように真っ白な肌になっていた。
頬に触れるとすべすべともちもちしていた。
ドライさんが髪を綺麗にハーフアップしてくれた。
ツヴァイさんとドライさんが徹夜で修復してくれたお母様の形見の黄色いドレスは、すっかり元通りになっていた。
ドレスに袖を通すとお母様がすぐ側にいてくれるような気がして、心が暖かくなった。
「仕上げです」
アインスさんが、イヤリングとネックレスを付けてくれた。
「これはイエローダイヤモンドですよね?とっても高価なんじゃ」
「僕からの贈り物です。
カラン様はいつもゆで卵を分けてくださいました。
そのお礼にです。受け取ってください」
どう考えても週に一つのゆで卵とイエローダイヤモンドのネックレスとイヤリングでは価格の釣り合いが取れない。
「ですがこんな高価な物の受け取りません」
「僕を助けると思って受け取ってください。
それから今日あなたをエスコートする名誉を僕に与えてくださいませんか?」
「エスコートですか?」
「カラン様は卒業生総代。
総代を務める者にパートナーがいないのでは様になりません」
「それはそうかもしれませんが……」
「いつまで喋ってんだ、時間がないぞ」
ツヴァイさんが苛立たしげに言った。
優しいアインスさんと違って、ツヴァイさんはクールな性格みたいです。
「ではエスコートをお願いします」
「はい、喜んで」
私はアインスさんにエスコートされ、四頭立ての豪華な馬車に乗せられ学園に向かった。
イヤリングとネックレスは後で返そう。
☆☆☆☆☆
「だから何度も説明してるでしょ?
お姉様は『卒業生総代の役目なんか下らない』と言って辞退したのよ。
だから次席の私が卒業生総代を務めるわ」
「カラン先輩がそんなことを言うとは信じられない。
カラン先輩は卒業生総代になるために必死に努力していたんだ」
「お姉様が今ここにいないのが何よりの証拠よ。
お姉様は『学園なんかつまらない、答辞なんて読みたくない』って言ってたわ」
「ウナ、私がいつそんなこと言ったのら」
「お姉様! なぜここに?!
嘘……なんでそのドレスを着ているの? 昨日私が破いたのに……あっ!」
ウナがしまったという顔をした。
私は学園につくとまっすぐに生徒会室に向かった。
するとウナが生徒会役員と揉めていた。
ドレスを破いたという発言をしたウナに生徒会役員が冷たい視線を向ける。
「カラン先輩、お待ちしておりました。
答辞の原稿はできていますか」
「お待たせしてすみません。
答辞の原稿は頭の中に入っています」
私は生徒会役員と一緒に卒業パーティーが行われる講堂に向かった。
そして私は無事答辞を読み上げることができた。
これも協力してくれた魔女様やツヴァイさんたちのおかげだ。
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