(02)
つばさは刑事課に所属しており、三宅警部が率いる班のメンバーでもある。
「おはようございます!」
「おはよう、つばさちゃん。今日もかわいいね!」
そう声をかけるのは、班長の三宅龍司みやけりゅうじ
つばさの元教育係で元ペア。つばさの父の後輩でもある警部。
有能な刑事で統率力もあり、ルックスもいい。所謂、イケオジ。
しかしそれは仕事に集中してる時に限る。
現に今、セクハラまがいの声がけを緩んだ顔でしている。
日常茶飯事の事で慣れているつばさは、いつも通り愛想笑い。
「ありがとうございまーす」
「班長。何度言ったらわかるんですか? それはセクハラです!」
臆せずリーダーに物申す女性。
つばさが『姉』とも慕う、吉田彗よしだけい
「……あんまり起こると、シワが増えるぞ」
三宅が恐る恐る口にする。
「班長。それがセクハラって言うんです! いい加減学んでください!」
「すみません……」
そんな二人を宥める最年長の、井上玄太郎いのうえげんたろう
年の功で、三宅班の中和剤のような役目。
「まぁまぁ、喧嘩しないで」
「玄さん、おはようございます」
「おはようさん」
つばさが自席に着くと、キザな男がやってきた。
「おはようつばさ。二日振りだね。俺がいなくて寂し……」
つばさはぶった斬った。
「あっち行って。仕事の邪魔」
つばさと同期の茂山賢治しげやまけんじ。つばさ曰く『ただの腐れ縁』
彼には真偽が定かではない伝説がある。
同期と一期下、全ての女性と付き合ったが、唯一付き合えなかったのがつばさだけ、という……
いつもつばさは彼を笑顔で切り捨てる。
しかし今日は眉間に皺が寄っていた。
「……おっと、与晴。姐御は今日ご機嫌斜めかな?」
茂山は彼女の相棒の与晴に様子を伺う。
「……はい。署長が出会い頭に先輩に嫌味を言ったんで」
「……本当、暇なんだなあの人は」
吉田がつばさに声を掛ける。
「岩井。今日は何言われた?」
「与に、わたしが寿退官する前に異動先決めろって」
「アウト。セ・パ両リーグ制覇」
三宅が、バツが悪そうにぼやく。
「……署長はこの調子だと毎年日本一だな」
吉田が釘を刺す。
「班長。班長はそのうちセリーグ制覇ですよ。お気をつけください」
「……はい。気をつけます」
いつもの遣り取り。
しかし、つばさは一人姿が見えないことに気づいた。
「……あれ? 彗さん。奈々ちゃんは?」
もう一人のメンバー、
与晴と同期。ペアは玄太郎。彼はいるのにここに彼女はいない。
今日は非番では無いはず……
「西谷は本庁に呼び出し。昼前には戻ってくる」
「了解です」
つばさはデスクワークに取り組んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます