セーラー服に袖を通した大学4年生

翠佳

人生は物語である

「人生は物語である」


 誰が言い始めたのだろうか。時に人の一生は一つの物語と比喩されることがある。

 ここに1人、赤ちゃんではない、社会人目前の大学4年生が物語を始めようとしていた……


 じわっと汗をかく。湿った手を拭い、今一度携帯を握りしめる。その画面には、ヤフ○クの終了間近のオークションが映っていた。商品はセーラー服。刻々と0に近づく時間表示。


【あなたが落札者です!】


 ふっと力が抜ける。男は2,3度画面を更新して落札したことを確認し、取引画面に移った。

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