第5話もしも、こんな刃傷事件があったら

江戸城、松の廊下。

「吉良殿、お待ちくだされ。吉良殿!」

吉良殿は無視をする。

「吉良殿、どうかお待ちを」

「なんじゃ、浅野殿」

「御勅使、ご到着の際、我々接待役は敷き台の上で待つべきでありましょうか、はたまた敷き台の下で待つべきでありましょうか?」

「浅野殿も、田舎侍でござるのう。かような事はみどもに聞かずとも先刻ご承知のはず」

吉良殿は歩き始めた。

「お待ち下され、吉良殿」

浅野殿は吉良殿にドロップキックを食らわす。

「グハッ!」

「どうか教えて下さいませ」

吉良殿は扇子で浅野殿の額を叩く。

「この、松の廊下でドロップキックするなぞ、田舎では当たり前なんじゃな?このフナ侍が!」

「吉良殿、どうかお教え願いたい」

「ふんっ、浅野殿。ききしにまさるフナ侍じゃのう」

「ぐぐぅ」

「お、怒っ顔がなおさらフナじゃ」

「言わせておけば、田舎侍をバカにしおって」

浅野殿は、腰刀の柄を握る。

「お、浅野殿は刀を抜くのか?ここで、刀を抜けば、浅野殿は即日切腹、お家は断絶。そんな勇気があるのか?フナ侍に!」

浅野殿は刀を抜いた。

「殿中でござる。皆の者、殿中でござる」

そこに、ウエスタンハットをかぶった大男が近付く。

「お、お前、浅野殿が殿中でござる!」

大男は、吉良殿にウエスタンラリアットを食らわした。

吉良殿はノックアウト。

「ありがたき幸せ者。大男殿」

浅野殿は大男にお礼を言い近づくと、浅野殿も、ウエスタンラリアットを食らった。

大男は去ってしまった。

歴史が変わった瞬間である。

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