第3話 天使族の子
この前は大変だったなぁ。まさかあんな事されるなんて……。
おかげで最期までニーナちゃんの顔がまともに見れなかった。
とりあえず次の教え子の所に行かないと…
今日の子は天使族の女の子だ。
名前はリリエル。翼が真っ白で大きく、綺麗だ。
天使族だからか、凄い優しく真面目な性格の子だ。
そして何より背丈も胸も大きい。彼女は僕の事を尊敬してくれているらしく、よく懐かれている。
彼女の部屋に着き扉を開ける。
「こんにちわ。リリエルさん。」
「あぁ、待ってましたわ」
部屋に入ると彼女が笑顔で迎えてくれる。
僕が来るのを待ってくれていたみたいだ。
「さぁさぁ座って」
彼女に促され椅子に腰掛ける。するとすぐにお茶を出してくれた。
相変わらず気が利く子だな。
早速出された紅茶を飲む。
うん。美味しい。
一口飲むだけで幸せな気分になる。
そんな至福の時を過ごしていると……
突然後ろから抱きしめられる。
背中に柔らかいものが当たっている。
どうやらリリエルが抱きついて来たようだ。
え?え? いきなり過ぎて動揺してしまう。
「ねぇ先生?先生は私の事嫌いなのかしら?」
耳元で囁かれる。
「そ、そういう訳じゃないよ……」
「じゃあ好きなの?」
「教え子としては……」
「ふふ……嬉しい♡」
更に強く抱きしめてくる。
「ちょっ……ちょっと苦しいよ」
あまりの強さに少し苦言を漏らす。
「あらごめんなさい。先生があまりにも可愛くてつい……♡」
そう言ってようやく解放してくれた。しかし今度は正面に座ってきてこちらを見つめてくる。
恥ずかしくなり目を逸らすとクスっと笑われた。
なんだろうすごく負けた気分だ。
しばらく無言の時間が続く。
その間ずっと見つめられ続けるので気まずい……
「そろそろ勉強しようか」
耐えきれなくなり話を振ってみる。
「そうですね」
よかった。やっと解放された。
「では始めましょうか」
「よろしくお願いします」
こうして勉強会が始まったのだが……
「先生はどうして私を見てくれないんですか?」
「え?い、いや見てるよ」
「嘘です。先生はいつも私から目線を外してますよ」
「うぐ……」
バレてる。流石天使族。勘が鋭い……。
確かに僕は今、リリエルを見ることが出来ない。
理由は簡単。胸をチラ見してしまいそうだからだ。
彼女は服をしっかり着ていて見えないが、それでも大きな胸の膨らみは隠せていない。
どうしてもそこに目が向いてしまうのだ。
それに胸以外もむっちりしていて何処を見てもよこしまな感情を抱いてしまう。
「先生……もしかして興奮してるの?」
「うぅ……ごめんなさい……」
「いいんですよ先生♪私が魅力的過ぎるのが悪いんだもの♪」
リリエルが嬉しそうな声で話しかけてくる。
その声を聞いているとまた顔が熱くなる。
「先生……こっちを向いてください……」
「い、いや……」
「私とキスしたくないですか……?」
「それは……」
「私はしたいです……」
リリエルが顔を近づけて来る。
このままではキスされてしまう。
それだけは避けなければ! 咄嵯の判断でリリエルを押し返す。
彼女は驚いた表情をしている。
そりゃそうだ。僕がこんな行動を取るとは思わなかったのだろう。
でもこれで良かった。なんとか最悪の事態は避けられた。
安心していると……
ガシッ 腕を掴まれる。
見るとリリエルが泣きながら僕の事を見ていた。
「先生……酷いです……私の事嫌いになったんですね……?」
「ち、違うんだよ!君が嫌とかじゃなくて!」
「じゃあ好きってこと?」
「えぇ!?いやぁ〜好きって言うか何と言うか……」
「やっぱり嫌いなんだ……」
「いやだから違くて……」
「もういいですよ……」
リリエルが涙を流す。
そして……
チュッ唇を奪われた。それもかなり濃厚なものを。
舌を入れられ口内を蹂躙される。
抵抗しようとしたが力が入らない。
天使族の力は人間の比ではないのだ。
されるがままになっているうちにだんだん頭がボーとしてくる。
気持ち良い……。
「ぷはぁっ」
ようやく口を離してくれる。
「先生……可愛い♡」
リリエルが微笑んでくる。
可愛いと言われ少し照れる。
「先生……日頃の疲れが溜まって正常に判断できないだけですよ、だから私が救済してさしあげますね♡」
「なにを……んむっ」
再びキスされた。今度は先程よりも激しく貪るようなキスだ。
そしてそのまま抱きつかれ、大きな白い翼で繭のように僕を包み込んでくる。
彼女の柔らかい体が密着する。
リリエルの大きな胸に埋もれる形になり呼吸ができない。
苦しいはずなのに何故か心地よい気分になる。
「どうですか?私の体は?癒されますか?もっと味わって下さい……」
そう言ってさらに強く抱きしめられる。
まるで逃さないと言っているようだ。
柔らかい……。それに甘い匂いがしてクラクラしてしまう。
そんな状態で数十分抱きしめられた後リリエルが優しく語りかけてきた。
彼女は慈愛に満ちた表情を浮かべており、その姿はとても美しかった。
そして彼女は言った。
「先生……せめて今日は日頃の疲れを癒しましょう♡」
「はい……」
リリエルの繭の中ぼうっとしている頭の中にリリエルの声が入ってくる。
リリエルの体に包まれてとても幸せな気分だ。
豊かな胸で顔を挟まれ、体はリリエルの手やむっちりとした太ももで挟まれる。
全身でリリエルを感じている。
リリエルの体温が伝わってきてすごく温かい。
リリエルの香りが鼻腔を通り抜けていく。
リリエルは優しい手つきで頭を撫でてくれる。
その感触もまた心地よく、心まで満たされる感じがした。
リリエルはずっと抱きしめてくれていた。
この時間が永遠に続けばいいと思った。
リリエルは僕が満足するまでずっと抱きしめていてくれた。
リリエルのおかげで本当に癒された気がする。
お礼を言おうと思い顔を上げるとリリエルの顔が目の前にあった。
彼女は頬を赤らめ息遣いが荒くなっていた。
リリエルの綺麗な瞳にはハートマークが浮かんでいるように見えた。
「先生……私……先生の事が大好きです……先生は私を愛していますよね?」
「うん……教え子として好きだよ……」
「こんなに意識を蕩けさしたのに……意思の固いお人なんですね」
「ごめん……」
「謝らないでください。私は先生が大好きなんです。だから先生が救済されるまで頑張ります」
リリエルは笑顔で言う。
しかしその目は真剣そのものであり、決意のようなものを感じた。
僕はその目に気圧されて何も言うことができなかった。
リリエルはその後もずっと抱きしめてくれていた。
そして勉強を教えて、この日は終わった。
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