伝説の魔剣、略してデンマ!? 伝説の魔剣だか電マだかわからないけど、キノコ型の振動するヤツで異世界をイきヌきます!!! ~電動マッサージ機は伝説の魔剣の夢を見るのか~
『闇堕ち』登場! その女、爆裂につき……!
『闇堕ち』登場! その女、爆裂につき……!
雲の切れ間に浮かんだシルエットは猛スピードで急降下した。伝馬とマロニエの元へとぐんぐん近づいてくる。近づくにつれ、伝馬の目に、その姿が鮮明になってゆく。
(あれは……!)
それは小型のドラゴン、いわゆるドレイクだった。その背に誰か乗っている。
ドレイクはあっという間に地面に迫ると、地面スレスレで反転上昇、伝馬とマロニエのすぐ側の家の上でくるりと宙返りした。瞬間、ドレイクからその背に乗っていた人物が飛び降りた。
そのまま空の彼方へと上昇するドレイク。一方、飛び降りた人物は家の屋根にひらりと舞い降りた。
赤髪の女だった。家の屋根から伝馬とマロニエを仁王立ちで見下ろす。
(えぇっ……!?)
女の姿を見た伝馬、思わず目を伏せた。ビビったわけじゃない。女の格好が、伝馬にとっては過激すぎたのだ。
女の服装はレザーのホットパンツとロングブーツ、手袋、サスペンダー、以上。その他には何も身に着けていない。
おわかりだろうか? そう、女の上半身はもうほとんどすっぽんぽんなのだ!
上半身にはサスペンダーしかない。このサスペンダーだけが女の胸に二筋のラインを引き、なんとか支え、守り、大事な部分を隠しているに過ぎない。
(
五人の姉がおり、女性の肌を見慣れてはいる伝馬でも、さすがにこれには当惑せざるを得ない。ネリネやマロニエはまだファッションで通るが、これは露出狂的だ。
「あなたの仕業ですね? なぜこんなことをするのですか?」
マロニエが一歩進んで出てきて言った。
その言葉を女は鼻で笑った。赤い髪をかき上げると胸が派手に暴れた。
この露出狂、とても豊満なスタイルをしていてとても危険だ。なにが危険って、あんまり暴れるとサスペンダーからこぼれだしそうで色々と危険だ。
「そんなの決まってる。絶望ほど美味しい魔力はないからさ」
鼻で笑い、胸を張る露出狂。胸を張るとまた胸が暴れる。サスペンダーが今にも弾け飛びそうだ。
(だ、大丈夫かなぁ……?)
サスペンダーの、というよりポロリの心配をする伝馬。いくら五人の姉に囲まれて育った天魔でもこれはさすがに直視できないから、せめて横目でハラハラと見守っている。
「テンマ、これが『闇堕ち』です。闇の魔力は人間を腐敗させ、自らのためなら他人を傷つけることをいとわない、悪魔のような存在となってしまうのです」
「は、はぁ……」
伝馬、色々と危ない胸に気を取られて、マロニエの話がほとんど頭に入ってこなかった。ただ伝馬の目には、悪魔というより露出狂の痴女としか見えていなかった。
「アッハハハハ! おかしなことを言うねぇ! じゃ、なんだ? ドラゴンがドレイクや人間を食うのも悪魔の所業か? 人間が植物や動物を食うのも悪魔的か? 違うよなぁ!? ただの自然の摂理! 強いものが弱いものを食うのは当然のことなのさ!」
呵々大笑する露出狂。笑うたびに胸を暴れさせる。ばいんばいん、ぼいんぼいん、ぼよんぼよん、ばよんばよん。まるで胸自体が意思を持っているかのようだ。
(だ、大丈夫かなぁ……)
ポロリしないか心配する伝馬。さっきからドキドキとハラハラが止まらない。
そんな露出狂をムッと怖い顔で睨むマロニエ。
「自然の摂理? それは動物の思考ですよ。人間には動物とは違った人間の理と法があります。人間の理も法も蔑ろにし、動物的欲求を恥ずかしげもなくむき出しにするあなたのような人をなんというか知っていますか? 悪魔というのですよ。悪魔はケダモノにも劣ります」
「ハハッ! ご高説ありがたいけどねぇ、アタシは人間がそんなに偉いもんだなんて、ちっとも思わないよ。ま、そんなことはどうでもいいの。アタシが興味あるのはそこのお前」
ビシッと伝馬を指差す露出狂。
「え、僕……?」
「と、
「あ、
「そう、
やけに電マに興味を示す露出狂。電マのナニが露出狂を引き寄せるのか?
「ねぇ、お姉さんとこにいらっしゃいな。来てくれたらイイコトしてア・ゲ・ル!」
露出狂、舌をペロッと舐め、大きな胸をこれでもかと寄せあげ誘惑する。自らの武器を最大限に活用したセクシーなスタイル。
「いえ、結構です」
即答。露出狂のセクシーさも伝馬には下品としか思えなかった。露出狂の下品でアヤしい人についていっちゃいけない。これ常識。
「あらあら、ふられちゃいましたね」
いい気味だ、とニヤニヤ笑うマロニエ。
フラれても傷ついた様子もなければ、めげる素振りもない露出狂。むしろ伝馬の反応をウブと受け取って、楽しんでるふうさえある。
「あ~ん、ツレないわねぇ。お姉さん、ちょっと傷ついちゃった。坊や、女性の誘いを断るにも、ちゃんとした礼儀作法があるのよ」
「また勉強しときます」
「またとは言わず、今お姉さんが教えてあげるわ。こんな機会めったにないのよぅ、さ、おいでおいで」
胸を両腕で挟み、身体を蛇のようにクネクネさせながら手招きするも逆効果だ。伝馬はいよいよ絶句し、ドン引きしながら目をそらした。
「いい加減見苦しいですよ。あなたみたいなふしだらで下品な人を選ぶほど、テンマは色ボケしてません。テンマのような紳士には私のような――」
唐突にマロニエは伝馬を抱き寄せた。目の前の露出狂に勝るとも劣らないその胸の中へ、伝馬の顔が沈んでゆく。
「むぐっ」
伝馬の頭が、マロニエの胸の中へとすっぽりおさまってしまった。
「私のような、おしとやかで優しく美しい大人の女性が似合います。ね、テンマ?」
「むー、むー」
伝馬、口を胸に塞がれ、声にならない。おまけに息もできない。
「ほら、テンマもこう言ってます」
「むー、むー、むー」
「ほら、ね?」
伝馬は否定も肯定もしてない。というかできない。口がマロニエの豊満な胸によって隙間なく塞がれているせいだ。おかげで呼吸すらしてないのだが、マロニエはそのことに気付いていない。
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