プロローグ
俺は転生者だ。
前世の最後の記憶は二〇五〇年頃。世界各国で地球統一国を目標としている、頭がおかしい過激派宗教団体テルミノスの世界同時テロが起こり、中東辺りに旅行中だった俺は空港などが軒並み破壊されて日本に帰れなくなり、各国の一般人も母国に帰りたい、けど帰れないなら正規軍に味方してやる。って事で世界的テロ集団地球統一国への抵抗を全世界でしていた。
日本人は腰抜けだからな。とか色々な国の人に冗談を言われたので、大和魂見せてやる! って事で俺も銃を手に取った。戦争映画やゲームである程度銃の知識はあったので、銃を撃つ事はできた。
そして何だかんだで一年ほど生きていたが、いまだに現役で走っている日本車に乗り、世界各国の軍人半分義勇兵半分で作戦地域へ移動していたところで運転手の頭がはじけ飛び、銃弾の雨が襲ったって事だ。
多分この世界でその記憶を持って生きているという事は、それで死んだって事だろう。
そしてこの世界ではエルフとして産まれ、成長速度が人間の十倍ほど遅いので二十年ほど乳児として過ごし、百五十歳になるまで両親や、近所のお兄さんやお姉さんに勉強や魔法の事を教わっていた。
暇すぎる。
生きている途中でそう思い、俺は成人したら旅に出ようと思い、百五十歳くらいになったら色々なところへ旅に出た。
そして五十年ほど旅をして、故郷の近くまで来たので俺は一旦実家に戻る事にした。
何年も旅を共にしているとお供が欲しくなり、考えた結果動物にした。
エルフは動物の声が理解できるので、頭が良くどこにでもいるカラスのレイブンと、個人的に可愛いと思う、荷物の積載量や身体的な強さでえらんだロバのムーンシャインと旅をしている。
名前は世襲制で、代々引き継いで付けている。
故郷に帰り、門番に認識票を見せたら別室に連れて行かれて入念な荷物検査をされた。これは長年生きているので、酒場での喧嘩的な軽犯罪が積み重なっているから、毎回少し大きめの街や町に入る時に必ず行われる。
俺は前世の知識をフルに生かした自作の弓や刃物、持っていた荷物を慣れた手つきで並べ、質問されたらそれに答え、特にヤバい禁輸品なんかを持っている訳ではないので、簡単な質問で終わったので自宅のあった場所に向かう。
五十年ぶりくらいの実家なので、まだ住んでいるか怪しいが、特に変わっている様子もなく一発で自分の実家だとわかった。
とりあえず植えてある花とかが違うだけで、色々そのままなのは嬉しかった。
「ただいまー。五十年くらい前に旅に出たルークなんだけど」
俺は一応自分の名前を言い、ドアを少し強めにノックをした。
「ルークなら、旅に出る前に懐いてた、幼馴染の名前くらい言えるわよねぇ?」
中から女性の声が聞こえたが、旅に出る前に百年以上聞いた声そのままだったので絶対に母親だ。
「プルメリアだ。白髪の金色の瞳をしている」
「んっふっふ。お帰り。今そのプルメリアちゃんが来てるわよ?」
実家に帰ったら、幼馴染のプルメリアが来ていたみたいだ。俺が旅に出てた五十年くらい前から、通っていたんだろうか?
「あ、お兄ちゃん。久しぶりー、そしておかえりー」
そして何百年も聞いた懐かしい声がして、俺はモップに飛び掛かられた……。
――――
・宗教団体名は適当です。テルミノスはもう出ません。
・主人公に生前戦闘経験をさせるために書いただけですが、元々民間軍事会社にいた設定でした。けどドコとドコが戦ってるっていうのは不味いと思い、世界共通の敵なら差し当たりないのでは? となりました。
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