第34話~深夜のナイトショー~

僕は映画好きな一人の独身サラリーマンだ。


いつもは営業部の部長代行をしているのだが、当然気楽に仕事をしているわけではない。当然「ストレス」という言葉が付き物である。


だが、そんなストレスも風の波に飛ばせることが出来る、癒しのスポットがある。


それは「映画館」だ。


この都会の街に、よく目にすることが多い。僕が働いている新宿の街にも映画館がある。


仕事が終わるのが19時であるため、いつも決まって10時過ぎのナイトショーの映画を見ている。


よく見るジャンルとしては、洋画のラブストーリーだ。


ホラーと言ったら夏、青春と言ったら春と、映画のジャンルごとに色々な合う季節があるが、ラブストーリーだけは365日見れる、特別なジャンルでもある。


僕は邦画のラブストーリーも好きなのだが、洋画はまた特に好きである。


外国の恋を日本で見れると言う画期的なジャンルであり、学ぶこともあれば、羨ましく思える。


そんな洋画のラブストーリーに恋を寄せながらも、今日も仕事帰りに行くことにした。それも今日は華金だ。


今日見るのは、アメリカ映画のラブストーリーであり、IT企業の女性社長が一人の男性秘書と恋に落ちる物語らしい。


とてもウキウキしながらも、チケットを買い、すぐに上映するルームに入ることが出来た。


中には誰もいなかった。まぁそれは珍しい話ではない。この時間となると誰もが家に帰ってすぐに疲れを癒したいのが普通であり、こんなほぼ毎日映画館に通う人ほど珍しいのだ。


あと五分で上映が開始するが誰も来ないため、僕は一番前の席で見ることにした。本来はダメなことなのだが、映画館スタッフの許可を経て、ここに座ることが出来た。


僕にとっては超ラッキーなことである。


すると、駆け込みで一人の女性が僕の隣に座ってきた。


僕は緊張のあまり、つい背中を伸ばしてしまった。隣の女性はハンカチをうちわ代わりにしながらも、荒れている呼吸を整えていた。


これは運命的な出会いかもしれない。なぜなら、沢山ある席の中からわざわざ僕の隣に座ってきて、一緒にラブストーリー映画を見るのだ。


これはチャンスだと思い、声をかけようとしたら上映が始まった。


タイミングが悪い・・・


でも、ここで逃したら今後出会いなんて訪れないかもしれない。絶対に逃してはならない戦いはそこにある!


そう思い、上映中だが女性に


「映画、お好きなんですか?」


と声をかけると、女性は笑顔で頷いてくれた。上映中はそれっきり会話をしなかったが、その後は映画の話で意気投合し、映画館前で僕たちは別れた。


しかし、僕はまだ分からなかった。


それがのちの妻になることなんて・・・・


~終~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る