第30話~謝罪会見~
自分はこれから、大勢の記者や国民の前で謝罪をしなければならない。
自分の職業は俳優をしている。過去には映画大賞を総なめにした経歴があるが、最近過去の金銭がらみの女性問題が明るみに出てしまい、そのことで世間をお騒がせしてしまい、今回緊急の謝罪会見を開かざるを得なかった。
確かに、CMスポンサーやドラマの降板により、多額の違約金は発生しているのは事実である。
しかし、よく考えれば謝罪会見など必要あるのかと考えていた。
何故なら既にスポンサーやドラマの監督やプロデューサーには謝罪を済んでおり、少なくとも謝罪をしなければいけない相手には済んでいるのだ。
しかし、国民に向けて謝罪するのは違うと思う。現に様々な制裁を受けているはずだし、女性問題と言っても、既に清算済みであり、自分にも既に妻子はいるのにも関わらず、それを掘り返したのは雑誌出版社の方だ。
一番迷惑しているのは自分だと少し憤りを感じつつも、会見を開いた限りきちんと弁解をしようと思い、ここに来たのも一理ある。
いざ、会場の中に入るとそこには大勢の記者が集まっており、一斉にシャッターを下ろした。
そのシャッターの光がまぶしい中、ここは一人のプロの役者として、きちんと謝罪の言葉を述べつつ、弁解を述べた。
その中でも、様々なきつい質問を記者から投げつけられたが、既に終わっていることだと言い切った。
そもそも質問の内容もおかしいものである。
「奥さんを傷つけたことに対してどう思う」や「何故女性から借金をしたのか」などを聞かれたが、それについては既に清算済みの話であるし、借金も確かにした自分も悪いが、それに関しては全額返済をしているため、他人から何かを言われる筋合いはない。
それに奥さんのことに関しては、説得に物凄い時間がかかった。最悪離婚も視野に入れた話もされたが、どちらかと言えば被害者は自分である。
何回も言うが、既にトラブルについては終わった話であり、掘り起こされた被害者は自分である。
そう思いながらも、自分はここで弁解を図ることにした。別に炎上されてもどうでもいい。
何故ならこれは終わった問題だからだ。
すると記者は誰も何も言わなくなった。あまりにも自分の反論が熱すぎたためであり、少しキレ気味になりながら話していたからである。
もちろん、次の日にはそのことでネットの炎上を受けた。
妻からは一言
「だったら謝罪会見すらやらなければよかったのに」
確かにそうだ・・・
~終~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます