いつでも死ねる異世界生活

@shouyudesu

第1話 日常は突然終わる

その日地球はなくなった


西暦20‪✕‬‪‪‪✕‬年8月某日の朝、いつものように起き、いつものように支度をし、家を出た。


「今日も1日頑張るか〜。」そう自分に言い聞かせて仕事に向かった。

私の名前は佐藤春樹22歳今年新社会人になったばかりのデスクワークがメインの仕事をしている言わば普通の人だ。


毎日の通勤電車に飽き飽きしつつ、自分はこのままでいいんだろうかと思いながら精一杯に生きている。もちろん夢も沢山あった。音楽家、小説家、俳優、YouTuberやれることはなんでもやった

人一倍承認欲求は強いと自分でも感じていた。


今現在もそのどれかで生計をたてていけるように踏ん張っている最中だ。

ある意味そんな人生に意義を感じていたし、この人生は最高だと思っている。もちろん若気の至りなのかも知れないがこれから待つ未来に向けてワクワクしていた。


午後14時30分頃いつものように机に座りデータを打ち込み半分寝ながらデスクワークをしていた。

今日は帰ったら何をしようか、動画を撮ろうか、歌を歌うか、小説を書こうかやりたいことは山ほどある。「残業ないと良いな(小声)」そう呟いた声は誰にも聞こえずにそれぞれが業務を行っている。


その時だ

全員の机にあるスマホが一斉に鳴り出した。


緊張、緊張、隕石落下警報

緊張、緊張、隕石落下警報


その後すぐサイレンも鳴り出した。

全員が全員スマホを見て今現在どういう状況なのかを確認し始めた。


俺も机の上に置いてあるスマホを開き何が起こったのか確認する為にニュースを開いた。

すると

「緊張速報が入りました。明日午後15時頃地球に巨大隕石が落下するという情報が入りました。調べによりますと隕石の直径は50kmにもなり、時速100km以上で進んでいるという報告が入りました。皆様はただちに避難もしくは覚悟をもって残り24時間過ごして下さい。」

スマホ越しのアナウンサーは視聴者にしっかり強い眼をして伝えていた。


ニュースを見てとりあえず自体を把握して、ふと周りを見ていると皆は呆然としていた。

「まあそうだろうな。むしろ何も考えられないよな(小声)」

突然の人生の終了宣言

人生が終わるのって意外とあっけないとは思っていたがまさかこんなに早いものとも思っていなかった。

「みんな業務は終わりだ!早く家に帰れ!」

そう言って社長が入ってきた。


とりあえず俺は家に帰ることにした。と言っても一人暮らしだった事もあり、まずは家族に電話をした。

「もしもし、俺だけどニュース見た?」

「ねえ〜ほんと凄いよね〜。でもまあしょうがないよね来るんだし。帰って来れる?」

「分からないけどすぐ帰るよ。」


こういう時の親の受け入れ方は半端ではない。

多分自分もそれを引き継いでいるんだろう。

これが幸か不幸かは置いておいて今もまだ現実感はないが、逆に清々しくもある。


なんとか家にたどり着いた時には19時だった。残り20時間そう考えると多いような少ないような気もするが、家にたどり着くとそこにはいつもと変わらない暖かい家庭が待っていた。

これまでにない位一家団欒を楽しんだ後、布団に入ったが寝れる訳もなく、ここに来て涙が止まらなかった。

何に悲しいのかは分からなかったが、ひたすら泣いた。


翌日8時に起き残りは7時間こんな時でもしっかりと眠るのかと人間のシステムを大きく恨んだが、親も寝ていたし、友達も家族を優先している為会う時間もない以上なにもする事はなかった。


家には地下室があり、いざとなればそこに避難し、1ヶ月は生活が出来るような環境が整えられている。これは父の趣味のような物だ。

「ここは子供の時によく隠れたりしたな〜」

今までの思い出を巡らせながら、見て回っているとふと某アニメのヒロインのフィギュアが机の上に飾られているのを見つけた。

「これはお父さんの物だな。いや綺麗だな。このアニメ見たけどこんな物買ってたのか。また無駄遣いしてお母さんに怒られるな」

そんな独り言を言いながら気がつけば残り1時間しかタイムリミットはなかった。


最後は全員で机に座って一緒に笑って終わろう

そういう約束をしていた。

人生の最後がこんな形になるとは予想はしていなかったし、やりたいことはあったけどまあ良いだろうという気持ちではあった。

「来世では自分の夢が叶ってるといいな」

誰にも聞こえないように、自分に言い聞かせるようにしてタイムリミットを待った。


空が赤くなってきた多分この近くに落ちるのだろうか太陽の様に赤い。せめて楽に死ねることを願った。


ふと思い出した。

そういやあのフィギュアのパンツ何色だっけ?白?黒?え?ここでこの疑問残したまま死ぬの?

いや、嫌だなそれは見たくてしょうがない

1度気になると確認したくなる性格もあり、気がつけばトイレを我慢していた人並みに急に走り出し、地下の扉を開けた後足早にハシゴを降りる途中で急ぎすぎたか足を踏み外してしまった。


私は盛大に頭をぶつけそこで気を失った


この日人類は滅亡した

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