第6話ともちゃん

撮影会に参加していてあることに気づいた。

他のファンの人は智美さんのことを「ともちゃん」と呼んでいる。

智美さんはファンから「ともちゃん」や「ともぴー」などといったあだ名で呼ばれている。僕だけ未だに「智美さん」と呼んでいた。どこかのタイミングで僕も「ともちゃん」と呼びたい。撮影会が終わるまでに呼べるようにしようと小さな目標を立てた。


智美さんが衣装チェンジして戻ってきた。2着目は今流行りの童貞を殺すセーターだ。

童貞の僕にとってはどストライク。目のやり場に困った。どうしても胸に目がいってしまう。さすが智美さんだ。けしからん。色々な感情が入り混じってた。次の撮影スペースに案内されて後半戦がスタート。


撮影会は順調に進んでいき、撮影中は撮ることや話すことに夢中になってしまい、中々ともちゃんと呼べない。他のファンの人は普通に呼んでいるのがなんだか羨ましかった。

撮影中は仕事の話や趣味の話などで智美さんとは盛り上がった。智美さんは普段からお酒を飲むのが好きで、仕事終わった後はいつも1人で飲んでいるのだそう。ファンの人たちとお酒を飲むイベントがやりたいと言っていた。


撮影会もそろそろ終わりが近づいてきた。最後の撮影の人にスタッフが声をかけ、最後の撮影が始まる。最後のタイマーがなり、無事撮影会は終了。そしてチェキタイムの時間だ。僕はもう1枚のチェキ券を使い、撮ってもらう。最後は智美さんと2人でハートを作って撮ってもらった。

チェキにサインをしてもらってる時も智美さんと会話を楽しんだ。僕は勇気を出した。

「あの、もし良かったら僕もともちゃんって呼んでもいいですか?」

「えっ、全然いいですよ!どんどん呼んでください!嬉しい!」

智美さんは笑顔で答えてくれた。

「どのタイミングで呼ぼうか迷ってたんです。」と伝えると、「可愛い!ありがとう!」

よし!今日の目標は達成したと心の中でガッツポーズした。


チェキのサインも終わり、僕は片付けた。帰る時にともちゃんにもお礼を言って、最後に高橋さんとお話しした。

「滝口さん、また撮影会などでご一緒する時はよろしくお願いします!」

「高橋さん、こちらこそこれからもよろしくお願いします!また会いましょう!」


僕にとって初めて友達という名の仲間が出来た。

こうして僕の初撮影会は無事幕を閉じた。

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