第99話 リキ王子を咬んじゃう
「さて、さて。リキ王子。覚悟は決まったかしら」
「はい」
「それじゃあ咬むわね。あなたも私の眷属。しかも公爵級吸血鬼にしてあげる」
私はリキ王子の肩を抱いた。首筋を晒させて、いざ、がぶりとイタダキマス。
「ふっ……うっ……んんっ」
小さく声を零す王子。とたん、膝がカクカクと笑い始めた。
何度も触れたことに、吸血鬼に咬まれるのはとてもキモチイイのだった。
咬んだ瞬間に牙から分泌される催淫性化学物質が血管内に侵入。
神経伝達→脳へ直行。ぎゅんぎゅんいくよ!
すると脳がこれに対して快感物質を溢れんばかりに垂れ流し始める。
ハレールヤ!!!
それはもう、常人ではとても立っていられないほどに。
「あっ、あっ、あ……んっ。声が、声がぁ……で、出ちゃう……っ!?」
そりゃそうよ。人の心は嘘ばかりだけど、人の身体は驚くほど正直だし。
彼が倒れないようにしっかり抱きとめて吸血する。あなたはもう、元に戻れない。
……にしても14歳だっけ。ゲーム中では建前上18歳となっていたけれど。
天然物の童貞少年の血、美味しいです。べりぐーよ。
王族なので無闇に血統を拡散させないよう、異性付き合いを節制していたのだろうか。もしくは男の娘に恋するくらいなので同性愛気質が貞節を守らせたのか。
いずれにせよこれは当たりの血だね。やっぱり少年は童貞に限るわ!!(力説)
でも、調子に乗ると吸い殺しそうなのでそろそろ眷属化を……。
魔力が収束してゆく。繰り返すが彼は童貞だった。なので高位吸血鬼にしやすくて良い。フォーリタインは傷の治癒に力が回ったらしく、大人し目だったけど。
ドンッ、と空気が震える。
一度死に、再び甦らんとす。
「……うふふ。生まれ変わっておめでとう、私の眷属」
「ありがとうございます、わが主さま」
「「「「「王子殿下ぁーっ!?」」」」」
彼の取り巻きたちが半分死にそうな顔色で悲鳴を上げる。
「私はもうこの王国の王子ではない。わが主、トリュファイナさまの愛の奴隷」
「……ん、んん?」
ナニソレ。
吸血鬼化と共にまた変態性を引っ張り出した気がしてならない。方向性としてはアモル侯爵方面というか。うわ、ちょ、なんで脱ぐのこの子。
「愛の奴隷に上着など不要です。さあ、わが主さま。鎖付きの首輪を私にください」
「えぇ……」
当店では
「どうしてもほしいと言うならあげるけど……」
「ちょうど首周りにフィットするようにしてくだされば。そうすれば動く度に首輪の存在が自己主張し、常に隷属を私に意識させます。なんて素敵なんだろう」
「えぇ……」
これはドン引きですわ。
「ま、まあ……後でデザイニングしたチョーカーをあげる。代わりに服を着なさい」
「そんな……。私の人格をお認めになられては、私が困ります……」
「なんでやねーんっ。私が現在進行形で困ってるから! 社会的に死ぬから! 自邸なら脱いでもいいから! 私のためと思ってちゃんと服は着なさい。いいわね?」
「はい……」
吸血鬼化でまたとんでもないクセモノが爆誕してしまった。
見て楽しむ(視姦する)変態=フォーリタイン。
完全メス化の男の娘=アーカードちゃん。
そしてすぐ脱ごうとする自称・愛の奴隷=リキ。(←New)
……キャラが全員ヤヴァイ。
「私の眷属って、フツーの子にはならないのかなぁ……?」
「そんな。私はマトモです。ただ、主さまの愛の奴隷なだけで」
「そこなのよねぇー。その一点がアレ過ぎるのよねぇー。わからないかなぁー?」
「はい、わかります。主さまの聖水が飲みたいです。できれば直飲みで」
「それ絶対わかってない発言だよねっ!?」
奴隷、聖水と来たらもうソレしか思い浮かばない件。黄金水一番搾り。
私はなんというトンデモモンスターを作り上げてしまったのか。
……ちょ。跪いて手で椀形を作らないで。出ないから。無理だから。
そんなことされたら、出るモノも引っ込むから。だから待つなっちゅうの!!
あー、うーん。
これはドン引きですわ(二度目)。
「もう、どうにでもなーれー」\(^o^)/オワタ
やがてカーズは考えるのをやめた……みたいな感じに私は思考を閉ざす。
「よし、じゃあ新たな眷属も増えたことだし、モンスター湧きポイントへ行くわよ」
「はい、お姉さま」
「はい、御主人様」
「はい、ママ」
「はい、わが主さま」
「イ、イェア……」
そうして、ほとんどやけっぱちで気を取り直すわけでございますよ。
ちなみに最後の返事は死神のサンズ。ドン引きが止まらない様子。神様ゴメンね。
私はリキの分隊を放置してフィールドの奥地へ向かった。一方、アーカードの分隊は無言でついてくる。全員が黒いフードつきローブで中身が見えない。
彼らはアーカード直下の眷属だろう。
陽光を防ぐ装備からおそらくは準男爵級から男爵級。
……え? 何をコストにしているのかって?
自らの血を分け与える行為=ある種の魔力侵食にコストを割くわけで。
吸血鬼は魔力・魔気で出来ているのは以前にも語った通り。
つけ加えて神族は神気で自己の存在を確立している。
すなわちエネルギーの塊が神であり、その下位互換の一つに吸血鬼がいる。
そうして吸血鬼の魔力侵食とは親と子の血縁関係を疑似的に作る感覚に近い。
極端な話、893の組長(親分)と組員(子分)的なファミリー構成などなど。
家族は大切にしよう!!
ちなみに人間では子は親に反抗するのは成長上当たり前なんだけど、しかし眷属化による血脈の枝葉になるとそういう手合いはまず起こらなくなる。
血脈は、絶対。祖流に
それは、そういうものなのだった。
【お願い】
作者のモチベは星の数で決まります。
可能でしたら是非、星を置いて行ってくださればと。
どうぞよろしくお願いします。
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