逢いたいから君とこの人生を愛す

葉瑠 マキ

序章 記憶の中の君

少し目の前が霞む、なんだか身体が軽い気がする。


ああすぐに分かった。今自分がいるのは夢のなかだ。夢の中だし好き勝手暴れてやろうか?


暴れるなら暴れるで今自分がどんな夢を見ているのか理解しないといけない。


そう思って俺は周りを見渡した。


どうやら学校の廊下にいるようだ。ただ全くもって見覚えがない学校だ。


灰色のコンクリの床、元々は白色だったのだろうが黄ばみがかった壁、そしてこれまた汚れが目立つベージュの教室の横開きの扉、全部が夢とは思えないほどリアルだった。


すると少し向こうから人が歩いてきた。どうやら服装からして女子生徒のようだ。

とにかく話しかけようと俺はその人に歩み寄った。


黒い綺麗なセミロングの髪、長くて凛としたまつ毛、つぶらな瞳の大きな目、その目の下にある小さなホクロ、筋の通った鼻、透き通った水のような唇、近くで見た彼女は美人や可愛いでは言い表せないほど可憐だった。



「すいません!この学校ってなんて名前の学校ですか?」



現実ならこいつ何言ってんだ?って質問でも夢の中だと通用するものだろうとこの質問を投げかけた。

夢は自分の頭の中のことなので大体思い通りになるものだ。


「、、、、、」


おいおいまさかの無視かよ、さらになんだか表情がこわばっている様に見えた。


いや、悲しんだ顔にも見える。



「あんたは誰?何がしたいの?」


「ああごめんなさい、俺は西岡柚喜って言います。多分ここ俺の夢の中なんで好き勝手s、、」


「そんなこと知りたいんじゃない!」



彼女は突然声を荒げた。全く何が何だかわからない。



「もういい。アンタと話そうと思った私がバカだった。」


「おいちょっと待ってくれ、俺たち初対面だろ?何でそんな怒られないといけないんだ?」



流石に腹が立ったので少し大きな声を出した。いくら可愛くてもやっていいことと悪いことがある。



「もういいって言ったでしょ?アンタとは二度と会いたくないから、さよなら」



彼女はそう言って廊下の奥に走っていく。



「おいっ!ちょっと待ってって、、うわっ」



俺は走り出した拍子に足を滑らせてしまった。

そして顔面から地面に落ちるのを覚悟し目を瞑ったところで目が覚めた、、、



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