デート

映画を鑑賞したはちと僕は、晩御飯を食べに行く。


「いい映画やったね」


「鼓動の速さでわかる事、ホンマよかったわ」


「じれキュンってゆうんやろ?あの話」


「そうやな。確か、そうやわ。」


「あの主人公役の俳優さん二人って、同じやんな?」


「やっぱり、八も感じた?僕も、そんな気がした。」


手を繋ぎながら、歩く。


「芸能人って、こんな風に堂々と出来んから可哀想やな。話は、かわるけど。俺達も、こどはやの先生と央美君みたいに、ずっと一緒におろうな。きゅう


「いるに決まってるやん。僕は、ずっと八とおるよ」


八は、嬉しそうに笑った。


「ここで、食べる?」


通りすがりの小さなレストラン。


僕達は、そこに入った。


八とご飯を食べ終わった。


「行き当たりばったりやったけど、うまかったな」


「僕は、八と食べるんなら何でもうまいよ」


「九は、可愛くて好きや」


「なんやねん、それ」


「じゃあ、帰るな。帰ったら、Limeするから」


「うん。休みは会おね」


「わかってるよ」


八は、僕を抱き締めてから去っていった。


僕は、8時前に実家に帰った。


「ただいまー」


九你臣くにおみちょうどよかったわ。話があるねん」


母さんに呼ばれて、リビングに行く。


「おかえり、くにー。」


父さんは、僕を普段は、くにか九你臣と呼ぶ。


「何の話?」


ダイニングに座った僕に、母さんは手紙を置いた。


「これ、たっちゃんから一生のお願いされてん。看護婦さんに頼んでたらしくてな。49日に届いたんよ。ホンで、九你臣の意見も聞きたくてな」


母さんに言われた手紙を僕は、開いた。


【母さん、父さんへ】


今から書くのは、俺がいなくなった後の話です。


二人に一生のお願いがあります。


どうか、竹を二人の養子にしていただけないでしょうか?


一年前に竹は、叔父さんにこう言われました。


「いい加減、竹富の姓からぬけてくれんか?早う、誰か嫁さんもうて養子になってくれ」と…。


竹は、なぜかと聞いたそうです。


叔父さんは、竹に何の表情も浮かべずにこう言った「お前が、嫌いやからや」と…。


竹は、母親を亡くしてから毎日出ていけと言われていた。


食事は、部屋。再婚相手とは、話さない事が条件やった。


俺が、よく竹を泊めてたんは竹を家に帰したくなかったからやった。


俺は、二人に愛されて幸せやったよ。


だから、俺には竹の辛さも悲しさもほとんど理解できません。


最近また家に呼ばれた竹は父親に早く姓を抜けと言われたようです。お前が、俺の名字を名乗ってるのが胸糞悪いと言われたそうです。


竹は、もう竹って呼ばれたくないんやと思います。


会社で、竹富って呼ばれたらどんな気分になるんやろか?


そう毎日考えた結果、俺は、二人に竹を養子にして欲しいと思ってるんです。


勿論、九にも聞いてください。


一生のお願いです。竹を叔父さんから解放してやってください。そして、二人の息子として可愛がってあげて下さい。


【たつ】


僕は、手紙を読んで泣いていた。


「お父ちゃんとお母ちゃんは、竹君大好きやからいいと思ってる。九你臣は、どうかな?」


「僕は、いいと思うよ。僕には、理解できへんけど…。竹君は、辛いと思うから」


「明日の夜に、竹富さんに話しにいく事になってるんやけど…。九你臣も来てくれへんやろか?」


「うん、ええよ。バイト、夕方までやし。」


「ほんなら、頼むわ。お父ちゃん行けんから、心ぼそかってん。あっ!竹君には、内緒やで。ただ、明日の夜9時頃に来てもらえるかだけ聞いといて」


「わかった。Limeしとくわ」


「よろしくね」


「うん」


「話、それだけやから…。」


「九、竹君の事お兄ちゃんやと思ったれよ。お父ちゃんもそうなったら、息子や思うからな」


「わかってる」


僕は、そういうと二階に上がった。


部屋に座って、兄の日記を開いた。


【芽衣子の義理父の話を聞いた、俺は、自分が平凡すぎて。理解する事が出来なかった。うわべを撫でただけの理解しか出来ない事が辛かった。】


僕は、今、この時の兄ちゃんと同じ気持ちだった。



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