The Fantasy Online

茶影さん

プロローグ

 クリエイトフィクション。この会社はファンタジー世界専門のゲーム会社。現実ではありえない、夢もしくは幻想を作るための技術者が集まるちょっと有名な会社。たまに変な作品を作り、『クソゲーオブザイヤー』を獲得する事もあったが大体はヒット作となり、ファンタジーを作らせれば隣に出る者はいないとまで世界に称されるそんな会社が新作のフルダイブファンタジーを発表した。


 そのゲームはMMOで今までさまざまなゲーム会社が挑戦し、ゲームバランスの崩壊を招き1年もしないまま世間から消えていった。例え、β版がめちゃ面白くても正規版で調整を間違えれば会社にもよるが人はいなくなるだろう。そんなオンラインゲームの闇とも言えるMMOにまさかの参戦となり、βテスターを募集した際には定員が1000人のところを60万人ほどの応募があり、その狭き門をくぐりぬけた者たちは待っている人たちに状況を実況していた。


 さらに、このゲームには実況専用のアカウントがPC作成後に自動的に製作され、たくさんの人が専用のアプリケーションで配信を行っていた。この中には有名な実況者が2人おり、チャンネルの登録者は双方ともに230万を超えるほどになっていた。さらに、無名であってもそれなりに再生数が稼げていた。


 βテストの期間は3週間となっており、バランス調整の後に世に出回る事になっていた。しかし、発売は日本国内だけであり海外のプレイヤーに向けサーバーの強化を行っていると発表があったため海外勢も日本勢もわくわくとした雰囲気が漂うのだった。



 クリエイトフィクションより発表された初期本数と値段は10000本とソフトに1万3000円。月に2000円というなかなかにお高い価格になっていたのだがそんなの関係ないとばかりに楽しみにしている人たちはその時を待っていた。公式からは10000本のうち、β参加者には全員にプレゼントとして渡される予定だったが、その内の数名が辞退したため発売本数は9010本となった。


 βの最後には1000にも及ぶアンケートが実施されており、そうでなくても不具合を指摘したり改善点を見つけてくれた人たちのおかげでより良い者となった事も称されておりそれならまぁと言った感じでほとんどの人は納得してくれていた。しなかった人もいるがそれは放置された。


 そして発売日になり、あらゆる人が一喜一憂する中で同じく喜びに顔をほころばせている女性が1人。


これはそんな女性がVRMMOを遊ぶだけの物語である。

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