エンジニアがハッキングしたら異世界への扉が開いたので、あたらしい世界で仕事を探してみる。

天瀬

第1話エンジニアがハッキングしたら異世界への扉が開いたので、あたらしい世界で仕事を探してみる。

 午前1時、終電は過ぎ、会社の窓からはよると静かな車の走行音だけが聞こえる。まわりからはカタカタとパソコンを操作する音が断続的に聞こえる。

 大学卒業後、4月に入社したおれは、ブラック企業に捕まってしまったらしい。大手企業はホワイト企業だと思っていた。

 ここ数日会社に泊まりこんでとあるプログラムのコーディングをしていたが、仕事の納期が近い。開発は予定よりずっと遅れていた。

 このままでは会社の信用に関わるが、予算決まっており、大手企業がサービス残酷など強いるわけにもいかず。こうして、仕事のプロジェクトマネージャーと信頼できる部下数名、そしておれが泊まり込みで作業をすることとなった。

 しかし、開発はやはり難航している。このままでは納期は過ぎてしまうだろう。

 隣で寝ていた、プロジェクトマネージャーも寝言で、間に合わないよぉ、とたたかっているようだった。

 時計を見ると、長針が倍の速さで進んでいるように見える。

 おれも流石にうなだれてあげていた肩を再び机の上に下ろして、伏せて寝た。


 朝四時、何処かから差し込んだ光に気がついて頭を上げる。寝ぼけたまぶたを擦って窓の外を見た。この時間はまだ朝日も上がっていない。

 ふと、目の前に緑に光るパソコンがあることに気がついた。

 前には誰も座っておらず、デスクトップのパソコンがなぜか緑色に輝いているのだ。

 おれは寝ぼけているのかと思ってまた少し目を擦ったが、どうやらこれは本当に起きていることらしい。

 どうせ、ここに寝ている誰かが作業中に放り出してそのままにしているのだろう。

 俺はやれやれと思って、パソコンを閉じてやることにした。今は誰も起きていないようだから、そっと閉じて、何事もなかったようにまた寝ていたいのだ。

 しかし、今思うとこのときおれはミスをしていた。

 見慣れない画面のパソコンを不用意に動かすべきではないと思いしることになる。

 マウスをつかんでクリックした途端。画面からより一層光が溢れ出したのだ。明らかに画面から出せる光の量を超えている。これはおかしいと気がつい時には、またどうせ夢だろうと、どうでも良くなってその場で寝てしまうのだった。

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