最終話 新しい日々…
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波乱の舞踏会が終わり、
3ヶ月が経った。
「ふぅ、これで担当場所のお掃除完了!」
私、オーロラ・オリベは今、
シラトス城のメイドとして働いている。
…まさか、ルクシ君…いやシルク様と
出会ったきっかけで
自分の働き先も生活も変わるなんて
思いもしなかった。
ここ3ヶ月は私も他のみんなも
色々と変化があった…
まずは、私から…
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あの日、シルク様に押し倒された私は
恥ずかしさと焦りで頭がいっぱいの状況で
…あの言葉を思い出していた。
ジンジャーさんが言っていた
あの言葉
『もし何かありましたら、
思いっきり叫んで下さいね』
魔王「オーロラ…ドレス姿も綺麗だ…
だけど真っさらな姿も僕に見せて?」
シルク様が私の胸に触れ、
ドレスを引き裂こうとした瞬間
私は思いっきりあの言葉を叫んだ。
「…い…い…いやぁぁあぁぁ
誰かぁぁ魔獣が部屋にぃぃ !!!
助けてぇぇ!!!」
何故?魔獣という言葉が出たんだと
一瞬思ったけど 今は考える余地なんてない!
このままだと、私のしょっ…処女が
喪失する!!
いくら好きな人でも裸は見られたくない!
シルク様…申し訳ございません!
お許しください!!
すると…私が叫んだと同時に
扉が吹き飛んだ。
ドッカーン!!!(扉が吹き飛ぶ音)
「…………へ?」
魔王「なっなんだ?ひっ!!」
壊れた扉から
両手に魔力を溜めたジンジャーさんと
アッサムさんが部屋に入ってきた。
ジンジャー「魔王様ぁ?貴方は今
何をしているんですかぁ(怒)」
アッサム「オーロラさん無事?!
良かった!その様子だと間に合ったようね」
ジンジャーさんはヅカヅカと歩き出し
シルク様の目の前に止まると…
ガシッと羽交い締めにして
その隙にアッサムさんが、
私の手を引いてシルク様から遠ざけた。
魔王「なっ何をするんだ!2人とも
せっかく良い雰囲気っ…」
ジンジャー「『魔王様』とオーロラさん
今日が初対面ですよね?
貴方はルクシ君ではないですよね?
それなのに いきなり押し倒すなんて
何を考えているんですか!!」
魔王「オーロラだって僕の事『大好き』って
言ってくれたもん!
あと『何でもする』って言ってくれたから
この行為は同意の上だ!!」
ジンジャー「それは【ルクシ君】に
たいしてでしょ! あと都合の良い様に
勝手に決めつけないで下さい!
何でもすると言ってくれたからって
何故、性行為に結びつくんですか?!
意味が分かりません!!!
はぁ…魔王様には正しい男女交際を
学ぶ必要がありますね…」
ジンジャーさんは頭を抱え
ため息をついてから手を叩いた。
ジンジャー「申し訳ございません、大臣様
お待たせしてしまって今から魔王様の教育を
お願い致します」
魔王「教育するのはジンジャーじゃないのか?! それはとても困るのだが…」
ジンジャー「俺だと 説得力がないですからね
100年、勤めている魔族の方が
適任かと思いまして あっ大臣様
魔王様の教育よろしくお願い致します。」
ジンジャーさんの目線の先、
シルク様の隣を見ると…
すっ…と大臣様が姿を現した。
そして私に向けて…
大臣「この度は…魔王様の野蛮な行為により
怖い思いをさせてしまい
大変申し訳ございませんでした
私めが魔王様に正しい男女交際について
再教育を致しますので」
と言って頭を下げ、シルク様には…
大臣「魔王様…ご覚悟は出来ておりますね?」
にっこりと笑い、
ジンジャーさんと交代して、
彼の腕を掴んだ。
魔王「…えーと…覚悟はまだ…
って大臣 何いきなり 転送の呪文を
唱えているんだ!!
僕を何処に連れて行くつもりっ…」
シルク様の言葉が途切れ、
ヒュンッと音を立て
2人は部屋から居なくなった。
ジンジャー「…さあて、
魔王様が再教育しているので、
俺達は別室でお茶でもしましょうか
…お茶がてら2人には今後について
お伝えしたい事があります」
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シルク様が男女交際について
大臣様に再教育中…
私とアッサムさんはジンジャーさんに
今後の事について、告げられた。
内容を要約をすると…
・領主様と奥様の悪事が白日の下に晒され
昨日持って「ダジュナール家」は崩壊した事
・その為、休みを1週間取った後
私とアッサムさんはシラトス城で
他の使用人全員も新しい働き先で
勤務する事になった事
ジンジャー「…という訳です!
コバルトさんからの指示で…
今日からお二人はシラトス城が
住処とお仕事場になります」
「色々とありがとうございます
精一杯、メイドとして勤めてまいります」
アッサム「坊っちゃまにも
感謝しなくては…よろしくお願い致します」
私たちはお互いに頷き
ジンジャーさんに向けて、
深く頭を下げた。
こうして、私とアッサムさんは
シラトス城のメイドとして働く事になった。
因みに、シルク様とは…
初対面という事で、
まずはお互いをどんな人物か知る為、
お茶飲み友達から始まった。
再教育したくれた大臣様
ありがとう!
これで…いきなり、
口付けとか抱きしめられるとか…
破廉恥な行動がなくなる!
「ルクシ君…じゃなかった
シルク様よろしくお願い致します」
もう、シルク様の前で身構えなくても
いいんだ!
魔王「…お茶飲み友達なんて
僕は納得いかないけど…『今』は認めるよ
よろしくねオーロラ
でもすぐにその関係は終わらせるから
覚悟しててね」
シルク様は私の手を両手で握りしめ、
色っぽい大人の笑みを浮かべた。
「…………えっ…えっと………」
……シルク様…大臣様との約束は?
「……シッシルク様たら
私は逃げませんので、
時間もいっぱいありますし
急がなくても良いのですよ(汗)」
平然なフリしてそう言ったけど
内心は焦りと困惑でいっぱいになった。
これからどうしよう…
アッサムさんとシロガネさんに
相談しようかな…
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続いてアッサムさん
アッサムさんは、私と同じく
シラトス城のメイドとして働く事に
そして、ジンジャーさんとの関係が、
舞踏会をキッカケに進展したそうだ。
ジンジャー『貴女の事が好きです
交際を前提に俺とお友達になりませんか
お願い致します』
なんとジンジャーさんから、告白してきて
彼は顔を真っ赤にしてアッサムさんに向けて
手を差し出した。
当然、彼女の答えは…
アッサム『嬉しい…私も貴方が好きです
喜んで!』
彼の手を握り返し、
頬を染め嬉しそうにはにかんだ。
こうして、アッサムさんの片想いが、
両想いになった。
それをアッサムさんから聞いた時は
どんなに嬉しかったか…
きっと近い内に交際に発展するんだろうな
ジンジャーさんアッサムさんを
よろしくお願い致します!
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アッサムさんに続いて
…ダジュナール家で
一緒に働いていた仕事仲間の皆さん
坊ちゃまが決めてくれた職場に
働き始めた方達もいれば…
仕事を辞め、第二の人生を
送っている方達もいて、
みんな、それぞれ新しい道へと
進んでいる。
中でも1番 驚いたのが料理長
料理長は、個人経営のレストランを
モジュール街に開店させたのだ。
長年の夢で、
少しずつ準備を始めていたとの事
コンプセプトは『気軽にフレンチを楽しむ』
あまり、お金を持っていない方に、
美味しい料理を提供したいと
彼の強い希望でこのコンセプトが
決まったそう…
料理長、人柄も良いし
何たって料理は とても美味しかった
すぐ人気店になるんだろうな…
…人気店になる前…
料理長!今度お休みの日、
アッサムさんとシロガネさんの
3人で食事に行きます!
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そして、最後に…
演技がとても上手くて、演技に騙され、
最初は意地悪な人だと思っていた。
でも実は誰よりも責任感が強くて
優しい人…
使用人全員にそれぞれの道を
作ってくれた 坊ちゃま
当初、彼は…
コバルト『俺も牢屋に入れて下さい
俺がもっと早く動いていれば
多くの命が失う事なんて無かった
俺も両親と同罪です。お願い致します』
罪なんてないのに罰則を望んでいた。
当然、シルク様の返答は
魔王『コバルト…それは出来ない望みだ
…お前には罪なんてない』
却下された。
だけどその代わりに…
魔王『魔王命令だ
コバルト・ダジュナール
お前は今日からダジュナールの名を捨て
シラトス城の家来として僕に従え』
魔王として、命令を出されたので、
坊ちゃまは断る事が出来ず、
コバルト『…魔王様…有り難き幸せを
このコバルト一生、貴方様に従います』
言葉を震わせ、
頭を深く下げた。
こうして彼はシラトス城で
『騎士見習い』として、
新たな人生を歩み出した。
それから坊ちゃま……じゃなかった
…そう呼んだら彼に怒られてしまう
もう、彼はダジュナール家の子息では
ないんだから
気を取り直して
それからコバルトさんは、シロガネさんと
お茶したり、2人でお出かけしたりと
会えなかった3年間を少しずつ埋め
私から見てもなんだか良い雰囲気に…
一昨日、2人に向けて『お似合いですね』
なんて言ったら、
コバルト『はっはぁ?! なな何言ってるんだ//// 俺達はそんな関係じゃねーよ
俺はその…嬉しいが
シロガネに失礼だぞ!!』
シロガネ『ありがとう!オーロラさん
コバルト君とお似合いかぁ
ふふふっとても嬉しい』
コバルトさんは頬を赤くして、
慌てていたけど、
シロガネさんの方は嬉しそうに笑っていた。
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「……………………」
なんだか色々あったな…
この3ヶ月間を思い返してみると…
真っ先にこの言葉が出てくる
【みんな、幸せになって良かった…】
もし、シルク様が
ルクシ君に姿を変えなかったら…
もし、あの日
ルクシ君と出会わなかったら…
きっと…
魔王「あっ!オーロラ 今、仕事終わりか
今から一緒に食事に行かないか
……オーロラ?」
私も、みんなも…何も変わらなかった
ずっと、辛い日々を送っていたと思う。
「…!シルク様…すみません
ぼーとしてしまって…
お食事、一緒にいきましょう」
魔王「やった!じゃあさっそく
身支度を…」
「あのっ…その前にシルク様に
お伝えしたい事がございまして
宜しいでしょうか」
魔王「伝えたい事?もちろんいいぞ
言ってみろオーロラ」
貴方のお陰で、私の世界に色が付いた。
ひとりぼっちで寂しかった日々が
賑やかで楽しい日々に変わって
ルクシ君の生活はとても楽しかった
でも…これからは…
「私と…出会ってくれて、助けてくれて
ありがとうございます
これからはルクシ君じゃなくて…
貴方様の事をもっと知りたいです」
貴方と一緒に
巡りゆく日々を送りたい
魔王「…!!それってつまり…」
「その…////私で良ければ、
おお付き合いの件よろしくお願い致します
あっ…でもいきなり抱き締める以上は…」
魔王「ありがとう!オーロラ!!」
「ひゃっ…!」
ガバッ!!
話が終わる前、
シルク様に力強く抱きしめられて、
気絶しそうになったけど…
なんとか、持ち堪え、
シルク様にもたれ掛かった。
私の様子に
シルク様は笑みを浮かべ
耳元でこう囁いた
魔王「ルクシの事なんてすぐに
忘れさせてあげる」
そう言ってから、
そっと私の頬にキスを落とした。
おしまい
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