第4話 カナリア号
その日の放課後、ちょうどピアノのお稽古がお休みだったので、私は屋敷の三階の人目につかない一室でこっそり紙飛行機を折った。おり方は学校の図書室で借りた折り紙の本に教わる。
私は夢中になって折った。
イカ飛行機にヘソ飛行機、大きな弧を描いて飛ぶクルクル飛行機、先っぽをシュッと尖らせたロケット飛行機……。
そして、紙飛行機を折ったら飛ばしたくなるのは必然である。
最初は部屋で飛ばすのに満足していたのだが、段々と物足りなくなっていく。
昼間、外でのびのびと飛ばしていた子たちの様子が思い出された。
しかし、誰かに見られては、
「氷川の人間が……(以下略)」
と言われるのは目に見えている。どうしたものか……。
「あ、そうだ!」
東の塔へ行こう、と閃いた。
あそこならお手伝いさんも滅多に近づかない。
それに高いところから紙飛行機を飛ばすのはとっても楽しそうだ。
青い空の下、高く高く舞った自分の紙飛行機を想像して私は期待に胸を弾ませる。
私は数機ある機体の中から特にお気に入りの一機を選び服の下に隠してそっと部屋の外に出た。
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